評判右腕が10Kでベール脱いだ 大会最長身の天理・達、161球完投も厳しい自己評価「30点」

[ 2021年3月21日 05:30 ]

第93回選抜高校野球大会第2日第1試合 1回戦   天理7ー1宮崎商 ( 2021年3月20日    甲子園球場 )

<宮崎商・天理>力投する天理・達(撮影・北條 貴史)
Photo By スポニチ

 天理が宮崎商を下し2015年以来6年ぶりの春勝利を飾った。今秋ドラフト候補のエース達孝太投手(3年)が161球を要しながら自己最速タイの146キロを計測し10奪三振で1失点完投した。

 今大会出場選手で最長身の1メートル93を誇り全国に約830人しかいないとされる珍しい名字の天理・達孝太が、初先発した聖地のマウンドを最後まで守り抜いた。快勝の中で161球を要し「30点」と辛口の自己採点も10奪三振で1失点完投。大器の片りんをみせた。

 「途中結構しんどかったが、走者が得点圏に入ってきたときにギアを一つ上げられた」

 2回までに146キロを5球計測した一方で、頭から突っ込むなどフォームが乱れ50球。試合後も不満が残る中で高い修正能力を発揮した。「ちょっと球速を落として低めに投げることを意識した」という3回からの4イニングは無安打に封じた。

 父・等さん(44)は仕事の都合で東京と大阪を往復する生活。高校入学前、自宅に父がいない間は8歳下の郁丸くんの習い事を自転車で送迎するなど2人の弟の父親役も務めた。入学とともに入寮して1カ月後、母と弟に宛てた手紙では4歳下の冴介くんにその役割を託し、母・るみさん(44)には力強く160キロ到達への決意表明。大阪府堺市の自宅の棚に大切に保管されている便箋は家族の宝物だ。

 1メートル93の長身は母の気配りのたまもの。3月27日生まれで同学年との体格のハンデを埋めようと煮干しをいり、すり鉢で粉々にしたものを離乳食に混ぜた。アルプスから見守った母は「ホッとしています」と胸をなで下ろした。

 2回戦の相手は強打を誇る高崎健康福祉大高崎。「絶対に今日よりいい投球をして、全部三振ぐらいの気持ちで臨みたい」。点数が奪三振数に比例するなら大記録が生まれる。(北野 将市)

 【各球団スカウトの達評】

 ▼阪神・山本宣史スカウト ウチの(藤浪)晋太郎もそうだが、前で球を離せるのが長所。体の大きさもあるし可能性を秘めた子。夏までマークしていく。

 ▼中日・米村明アマスカウトチーフ 順調にいけば夏にハイクラスなスピードを出して、外れ(1位)を含めて…という存在になると予測できる。体ができれば、手が付けられなくなる。

 ▼オリックス・牧田勝吾編成部副部長 捉えた打球が伸びず外野を越されるイメージができなかった。スケールの大きさは魅力。

 ▼広島・苑田聡彦スカウト統括部長 あれだけの体があって、腕も振れるのだから楽しみな選手。体ができれば150キロはすぐに出る。

 《3年ぶり160球超の完投》1週間で500球以内の球数制限が導入される中、天理の達孝太が161球で9回完投勝利。160球を超える9回完投勝利は19年に東邦・石川昂弥が富岡西戦で記録した163球以来で16年には履正社・竹田祐が日大三戦で174球で記録。9回完投敗戦では15年立命館宇治・山下太雅が静岡戦で181球などがある。

続きを表示

この記事のフォト

2021年3月21日のニュース