選抜直前連載【新しい時代のはじめに(2)】父子3代…3元号で聖地の勇姿

[ 2021年3月17日 08:00 ]

春夏の甲子園大会で父子3代での3元号出場となる県岐阜商・松野匠馬

 選抜大会も1924年(大正13)の第1回から「昭和」「平成」を経て4元号目に入った。昨年は中止となり実質的な「令和初」となる今大会。各元号の最初の大会に出場したチームの中で、昨年に続き今春も出場にこぎつけたのが県岐阜商と仙台育英の2校だ。

 その2校の中で、高校野球の歴史を感じさせるのが県岐阜商の主戦の一人、松野匠馬(2年)だ。祖父・勝治さん、父・文治さんともに同校野球部OBで祖父は1961年(昭和35)夏に外野手として4強入り。父は試合出場こそなかったが捕手として92年(平成4)16強入りを支えた。

 松野自身も昨夏の交流試合・明豊戦で登板し3回1/3無失点で甲子園を経験済みだが、今春に出場すれば春夏の甲子園大会で父子3代での3元号出場となる。愛知県出身で幼少期から祖父と父に野球の手ほどきを受け、中学時代は父がコーチを務める愛知名港ボーイズでプレー。秀岳館で実績を上げ18年に就任した鍛治舎巧監督(69)の下での野球を望んだこともあり県岐阜商への進学を決めた。「入学してから祖父、父と野球の話をする機会が増えた」といい、父から「自分の力を一つでも上げて対戦しないと(甲子園では)勝てない」と助言を受けた。

 同校は選抜で3度優勝など歴代3位タイの48勝を誇るが、平成期間は4度出場で4勝のみ。元監督で現在はコーチを務める太田郁夫OB会委員長(67)は「鍛治舎さんの指導で今の子たちが歯を食いしばって頑張っているのを見て、自分たちが甘かったと気づかされた」と語る。

 148キロ右腕の松野は「(祖父と父の)かなわなかった優勝の夢を自分が果たしたい」と意気込む。平成は黒星スタート。新時代の始まりを白星で飾り復権ののろしを上げる。

 ○…第1回から3回までの「大正」期間に出場した17校は今回出場なし。大正から平成まで「3元号」全てで勝利しているのは広陵、高松商、早実、松商学園の4校だけ。県岐阜商は選抜通算48勝で東邦(56勝)、中京大中京(55勝)に続く50勝を狙う。

 ○…仙台育英は主将の島貫丞が選手宣誓の大役を担っており「東日本大震災から10年。被災した方々に勇気や感動を与えられる言葉を入れたい」と話す。選抜で選手宣誓校が優勝したのは1972年日大桜丘から2015年敦賀気比まで4校のみだが、節目の年に東北勢として初優勝を狙う。

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