楽天・早川、自身を言葉で表現できるルーキー 試合後のコメントが楽しみ

[ 2021年2月2日 10:00 ]

上半身の柔らかさが際立っている楽天のドラフト1位・早川
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 「空間認知能力」に「位置エネルギー」。楽天の新人合同自主トレでドラフト1位・早川隆久投手(22=早大)を取材した。コメントをメモしたノートには、野球選手には不似合いとも思われる単語が書かれている。

 「空間認知能力」は1月16日。それまで積雪のために出来なかった屋外での遠投を初めて実施した際のコメントだ。早川のスピンの効いた伸びのあるボールは、時折相手の頭上を高く越えていった。「これぐらいで投げればちょうど相手に届くかな、というのが意外と頭を越してしまったので。空間認知能力というか、そういうのも養っていければ」。いわばピントのずれだろう。それを遠投で養えば、18・44メートルのマウンド―本塁間ではより生きることは自明だ。

 「位置エネルギー」は同27日、2度目のブルペン投球を行った時。「(マウンドの)傾斜を使って位置エネルギーをうまく使うためには、軸足の方のお尻でどれだけ“ため”をつくれるか。その“ため”を生かしたまま、今後はステップした右足にうまく体重が乗るかがポイント」と話した。傾斜を使った体重移動を位置エネルギーと表現したのだ。

 ルーキーながら、自身の投球を独自の「言葉」で表せる。これは理解度が深い証拠だろう。キャンプ中の投球数についても「合計で750球から900球ぐらい」と冷静に計算している。理論派。一方でその理論の礎となる身体能力の高さにも驚かされた。遠投の際の写真。撮影したものを見たら、肩周りや肘の柔らかさが際立っていた。本人は「上半身には気を使っていないし、動きに詳しくない。下半身を意識している」と言うのだから、天性の柔軟さと言っていい。

 その左腕の振りについては「釣り竿のような腕のしなりをつくりたい」と表現し、「支点をつくるためには下半身の使い方が大事」と力説した。自身を言葉で表現できるルーキー。シーズンで勝利した試合後のコメントも今から楽しみだ。(記者コラム・鈴木 勝巳)

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