元日本ハム中村勝が豪州リーグ開幕投手決定 自己最速更新148キロで“NPBでまた野球できたら”

[ 2021年1月5日 05:30 ]

オーストラリア・リーグの今季開幕戦に先発することが決まった中村勝(ブリスベン・バンディッツ提供)
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 19年まで日本ハムでプレーし、現在はオーストラリア・リーグのブリスベン・バンディッツに所属する中村勝投手(29)が5日(日本時間同日午前9時開始)のアデレード・ジャイアンツとの今季開幕戦に先発する。「練習中に監督(元中日のデーブ・ニルソン、登録名ディンゴ)から“開幕戦に投げられるか?”と聞かれ“大丈夫です”と答え、その後に正式に伝えられた」と静かに闘志を燃やした。

 日本時代は直球の球速が常時130キロ台後半だったが「腕を少し早めに、いつでも投げられるポジションに置いてから投げるようにした」という現在は自己最速92マイル(約148キロ)を記録するなど投球スタイルが一変。テークバックから右腕の振りの意識をシンプルにすることで制球が安定。制球を気にせず右腕が振れるようになると、自然と球威も増したという。「昨年まで直球の制球が不安定だった。元々、直球が“真っスラ”気味で武器だったけど、投げている感覚は良くなかった。今も“真っスラ”の動きをするけど、感覚が良い」と手応え十分だ。

 中村は17年7月に右肘のじん帯再建手術(通称トミー・ジョン手術)を受け、18年は1軍登板なし。19年もわずか1試合の登板に終わり、戦力外通告を受けた。「トミー・ジョン手術後に、違う箇所のトレーニングをしたことや、体を休められたことが結果的に良かったかもしれない」。週4度の練習とコンドミニアムでの自炊生活。体調管理に気を遣い、体重は日本ハム時代の85キロから「82、83キロくらい」に減り、自然と体にキレも出てきた。日本自体と比べ、トレーニング量も限られ、決して恵まれた環境ではないが、精神的にも肉体的にも大きく成長している。

 中村は素直な気持ちを口にした。「オーストラリアに来た時に今の状態は想像できなかった。良い意味で自分自身を裏切った。(今後)どこかしらからオファーをもらえないか欲が出てきたのは事実。シーズンでどれだけできるかで、次のステップにいけるかが決まる。それで(結果が)良くて、NPBでまた野球ができたらなと夢は見てしまう」。まだ29歳。異国の地で進化した右腕から目が離せない。(柳原 直之)

 ◆中村 勝(なかむら・まさる)1991年12月11日生まれ、埼玉県出身の29歳。武里中、春日部共栄を経て09年ドラフト1位で日本ハムに入団。1年目の10年にチームでは05年ダルビッシュ(現パドレス)以来の高卒新人の初登板初勝利。14年にはローテーションの一角として自己最多8勝を挙げた。プロ10年間で通算60試合に登板し15勝17敗、防御率4・07。右投げ右打ち。1メートル84、「82、83(キロ)くらい」。

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