中畑清氏 コロナで中止1試合だけ プロ野球の取り組みを五輪へつなげ

[ 2020年11月3日 06:30 ]

スポニチ評論家の中畑清氏
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 【キヨシスタイル】感動したよ。全日本大学駅伝。我が母校、駒大が6年ぶりに優勝した。3位でたすきを受けたアンカーの田沢がラスト1キロでスパートをかけ、2位の東海大に23秒差をつけてのゴールインだ。

 大会新記録の5時間11分8秒。コロナ禍で練習にはいろんな制約があったと思う。困難に立ち向かってみんなで叩きだしたタイム。凄いよ。優勝インタビュー。大八木監督も田沢も大会開催にこぎつけてくれた関係者への感謝の気持ちを示したのもうれしかったな。

 まだ無観客の競技が多いけど、各種スポーツを楽しめる日常が戻ってきた。改めてプロ野球が果たしてきた役割は大きかったと思うね。

 6月19日に無観客で開幕。7月10日から上限5000人のお客さんを入れ、9月19日から収容人数の50%まで入場制限を緩和した。
 開幕前に阪神、巨人、開幕後はソフトバンク、オリックス、阪神、ロッテの選手に感染者が出たけど、一番危惧されたコロナによる1軍公式戦の中止は8月2日のソフトバンク―西武戦1試合だけ。お客さんを入れ、さらに増やしても両リーグ優勝チームが決まるまで持ちこたえた。

 東京五輪で野球・ソフトボールの競技会場となる横浜スタジアムでは、10月30日からのDeNA―阪神3連戦で観客の上限を販売可能な約3万2000席の80%、90%、100%と段階的に引き上げて技術実証が行われた。

 一番多かった11月1日で2万7850人。約87%だったけど、この結果を受けて日本シリーズにどれだけお客さんを入れるか。

 スポーツには国民を元気にする力がある。いつかワクチンや特効薬ができてコロナ前の日常に戻る日が来るはずだけど、それまでいかに元気で前向きに生きていく環境をつくっていくか。

 その代表であるプロ野球。こんな対策を取ればお客さんを入れても大丈夫というものを各スポーツ界に示してきた。今度は世界に向けて発信すべきときだ。

 日本シリーズをどんなスタイルで開催するか。できるならスタンドを満員にして2020年シーズンのゴールテープを切り、来年の東京五輪につなげてもらいたい。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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2020年11月3日のニュース