MLB労使対立泥沼化の背景 最高収益更新でも年俸減…かねての不満が複雑化

[ 2020年6月17日 05:30 ]

今季の全日程中止に言及した大リーグのマンフレッド・コミッショナー(AP)
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 危惧されていた労使の対立がコロナ禍により1年早まり、泥沼化している。現行の労使協定は21年シーズンを最後に失効。オーナー側に有利な内容が多いとかねて選手会側に不満があり、改定の話し合いは紛糾必至だった。今回は感染リスクのためプレーに難色を示す選手もおり、事態がより複雑化した。

 大リーグが近年、史上最高収益を更新し続ける一方で、選手の平均年俸は2年連続で減少。「無観客だと赤字になる」との声も聞かれるが、最も客が入らないマーリンズは02年に買収した前オーナーが17年の売却時、金額が約10倍となった。今年はキャッシュフロー(現金の動き)がないとの理由で各球団が財布のひもを締め、4分の1以上がシーズン中止を望んでいるという。

 2日後に開幕するNPB球団は、今季の選手年俸を全額保証した。米国ではコロナ禍に加えて人種差別問題で社会に不安が広がっている。経営者たちは妥協して選手会が主張する試合数に比例した報酬を出し、明るい材料を提供すべきだ。

 94~95年の労使紛争ではストライキに発展。経営陣はマイナーやアマチュアの選手を呼んでシーズンを決行しようとし、ファンにあきれられ、そっぽを向かれた。同じ過ちを繰り返してはならない。(大リーグ担当・ 奥田秀樹通信員)

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2020年6月17日のニュース