ブルージェイズ・山口 クッキングパパになる 家族の反応は「“全部おいしいので…”」

[ 2020年4月26日 06:15 ]

日本で調整中のブルージェイズ・山口俊
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 ブルージェイズの山口俊投手(32)がスポニチ本紙の電話インタビューに応じ、現在の心境を語った。先月25日に一時帰国し、2週間の隔離生活を終え、現在は国内で練習に励んでいる。世界的なコロナ禍の影響で開幕時期が不透明な中、キャッチボールや遠投を中心に調整。得意の料理を家族に振る舞っていることも明かした。(聞き手・柳原 直之)

 ――3月下旬に一時帰国。現在の一日の過ごし方は。

 「午前6時半~7時くらいに起きて、午後1時くらいにトレーニングを終えて自宅に帰ってきます。そこからは子供と遊んだり、ご飯を作ったりとかそんな感じ。寝るのは午後10時くらいです」

 ――どんな練習に取り組んでいるか。

 「普通に走ったり、キャッチボールをしたりしています。ブルペンに入ることはできていませんが、遠投はできています」

 ――練習場所について。昨年まで所属した巨人の練習場の使用許可は得ている。

 「今のところはないです。(巨人から)ご連絡を頂いて“いつでも言ってきてくれ”と言ってもらっていたのですが、状況が状況なので、僕が何かで迷惑を掛けることになったら大変なこと。(練習場所は)その日、その日でやっています」

 ――ウエートトレーニングも難しい。

 「器具を使ってのトレーニングはできていないですよね。下半身と肩がメインで、チューブを使ったトレーニングとかそんな感じになります」

 ――今は何%くらいの仕上がりか。

 「60、70%くらいですね」

 ――キャンプ中最後の実戦登板となった3月10日(日本時間11日)ヤンキース戦では最速94マイル(約151キロ)を計測。3回1失点と大リーグ公式球の感覚をつかみつつあった。

 「そのままの状態で、あとはどうボールに対応していくか。どこまで自分の感覚を高めるか。そこだけだと思っています」

 ――キャンプ中盤に股関節の使い方、意識を変えた。

 「より軸足(右足)に体重を乗せるということです。左足を上げた時に、よりしっかり軸足に体重を乗せてから移動するという感じです」

 ――キャンプイン当初はなかなかできていなかった?

 「どうしてもボール(大リーグ公式球)に意識が行き過ぎていました。滑るのが嫌だったので、そこ(股関節への意識)の部分がおろそかになっていました。だから、より下半身に、より股関節へ乗る意識を強くしたという感じです。ボールに力が伝わりやすくなり、制球力にもつながったと思います」

 ――開幕時期が見えない。どうモチベーションを保っているか。

 「正直、見通しはないですよね。いつ始まるかも決まっていないですし。ただ、今、自分ができることをやるしかない。いつに向けてとかではなく、やれることをしっかりしつつ、自分自身のレベルアップができる期間というような感じです」

 ――もう一度、体づくりをできる期間でもある。

 「そこが難しいですよね。オフシーズンと違って、いつどうなるとかがないので。それをし過ぎたら正直、感覚も変わってきますし。それが難しいところ。ただ、(シーズンが)始まるよってなった時には、100%に近い状態でできるようにやっていくしかないと思います」

 ――自身のインスタグラムでは家族に振る舞う料理写真を数々披露している。

 「凄く時間がある中で料理をすることによって、時間もうまく消化できているので。ストレス発散まではないですけど、良い気分転換になっています」

 ――得意料理や家族の評判について。

 「料理はその時にみんなが食べたいものを作ります。(家族の反応は)“全部おいしいので、特に何もない”らしいです(笑い)」

 ――どれくらいの頻度で料理を作るか?

 「週2、3回くらいじゃないですかね。奥さんと半分、半分くらいの頻度です。料理は一人暮らしをしていた時からしていました。料理がうまくなっているかどうか分からないですね。自分好みの味なので」

 ――改めて今後に向けて。メジャーはアリゾナに全球団集結する案や、フロリダと2カ所で開催する案などが議論されている。

 「その場その場で報道されることに対して一喜一憂していると調整も難しくなります。その時に向けて自分自身、練習をしていくだけ。どの状況、どの状態で開幕となっても、僕自身もそこでしっかりプレーする。それだけですね」

 ≪マー&筒香も帰国≫山口の他にヤンキース・田中、レイズ・筒香が一時帰国し、国内でトレーニング中。メジャー1年目では唯一、レッズ・秋山が米国にとどまり、ツインズ・前田の紹介もありロサンゼルスの練習場で調整を重ねている。18年秋の右肘手術、昨秋の左膝手術から二刀流で復活を目指すエンゼルス・大谷はメディカルチェックを含め医療的な必要性があるとし特例で本拠地エンゼルスタジアムでの練習が許可されている。

 【取材後記】今年1月の沖縄・那覇自主トレ。山口は右腕の振りをスリークオーター気味から以前のオーバースローに戻すことを明かした。上から叩きつけて投げて強いスピンをかける狙いがあり「欲を言うと平均3、4キロは上げ、常時150キロはいきたい」。直球の球速が上がれば、変化球も生きるからだ。ところが、滑りやすいメジャー球を気にするあまり結果が出ず、方針転換を迫られていた。

 ここで山口は変化を恐れなかった。2月29日のフィリーズ戦以降は昨季、巨人で投手部門3冠を獲得した下半身主導のフォームに戻し、宝刀スプリットが復活した。今回のインタビュー中、山口は投球フォームについて「まだまだじゃないですか。“今からかな”という感じだったので」と語った。一貫性を持ってやり続けることと同じように、変化し続けることも大事。過去に例のない状況が続くが、山口なら柔軟に対応してくれるはずだ。(MLB担当・柳原 直之)

 ◆山口 俊(やまぐち・しゅん)1987年(昭62)7月11日生まれ、大分県出身の32歳。柳ケ浦では1年夏、3年春に甲子園出場。05年高校生ドラフト1巡目で横浜(現DeNA)入団。06年6月29日の巨人戦で初登板初勝利。12年には史上最年少で通算100セーブ。14年途中から先発を務め、16年に11勝を挙げ球団初のCS進出に貢献した。同年オフに巨人にFA移籍し、18年には史上79人目のノーヒットノーラン。1メートル87、98キロ。右投げ右打ち。

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