コロナ禍 難しいドラフト1、2位選手の選定

[ 2020年4月14日 13:03 ]

<プロ野球ドラフト会議2019>奥川の交渉権を引き当てたヤクルト・高津監督(左)(撮影・西尾 大助)
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 【伊藤幸男の一期一会】球音が途絶えて久しい。今年プロ入りを目指すドラフト候補選手にとって、もどかしい時間が過ぎている。新型コロナウイルス感染拡大の影響で高校・大学・社会人の公式戦は中止か延期に。人材を発掘したいプロ、アマ球界関係者も落胆を隠せなかった。それどころか、ある球団スカウト幹部は「今年はドラフト1、2位を絞るのが難しい。球団の収入が減るだろうし、それに見合う選手が出てくるだろうか」と明かしたからだ。

 確かに一理ある。いまだ開幕の見通しが立たないプロ野球。たとえ開幕しても例年の143試合制は厳しく、交流戦18試合を断念した125試合制が現実的となる。ただファンへの感染防止を考慮すれば、当面は1人ずつ数メートルずつ空けての観戦制限を敷くことになりそう。つまり1試合1億円と言われる入場料収入、シーズンシートの見直し、ジェット風船販売自粛など収入ダウンは確実だ。

 スカウト幹部が続けた。「例年、上位選手は1億円近い金額で契約してきたけど、今年はどうなるんだろう。視察する機会は少なくなるから、判断材料も少なくなる」。

 将来性豊かな高校生がその例に当てはまる。全国の春季大会はすべて中止。甲子園につながる夏季大会だけがスカウト陣の判断材料だが、予選序盤で敗退した候補生の評価が難しい。1位クラスの選手なら普段の練習からマークはするが、緊張が増す公式戦での投球や打席が重要な決め手となってきた。今夏は甲子園と全日本大学選手権が重なるため、地方大学の有力選手を全スカウトでダブルチェックすることも難しくなった。

 現時点で今年のドラフトは11月5日が予定されている。まさか1位指名を返上する球団はないと思われるが、評価基準が少なくなったのは確かだ。一刻も早くコロナ禍が収束することを祈りたいが、来季のチーム像を模索する球団フロントにとって、頭を悩ますシーズンが続く。

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