【78年センバツ第50回大会】「完全男」松本稔氏 伝説は監督になっても

[ 2020年3月30日 08:00 ]

センバツあの日の記憶~高校野球ファンに贈る~

第50回大会の比叡山戦で史上初の完全試合を達成した前橋・松本稔
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 42年前に甲子園史上初の完全試合を達成した群馬中央中教校・松本稔監督(59)が人ごとのように振り返った。「奇跡が昔あったよね。甲子園七不思議の一つかな」。

 松本監督は名門・前橋のエース兼4番として第50回大会に出場。「木暮・阿久沢」の二枚看板で同大会4強に進出した同県の桐生とは対照的なワンマンチームだった。だから滋賀・比叡山戦も「自分たちが一番弱い」と冷静だった。それでも調子が上がらず数日前に変えたスリークオーター気味のフォームで制球力が増し、カーブが切れる。78球を投げ抜いた1時間35分後には「時の人」となった。

 半世紀弱が過ぎた今でも「完全男」の肩書は通用する。ただ本人はこう考える。「自分は選手として甲子園に出て記録もつくれたけど、指導者として出場できたことが大きい。監督として出られたから、周りが何を言っても我が道を行けたのかな」。87年夏は中央で、02年センバツは母校を率い2度甲子園に戻ってきた。監督として足かけ35年目を迎えた今春もノックバットを振り、球児を懸命に鍛えている。

 ☆第50回大会(78年) 入場行進曲は松崎しげるの「愛のメモリー」。優勝候補だった桐生の阿久沢が王(早実)以来20年ぶりとなる2試合連続本塁打をマークするも準決勝で敗退。2年生だった箕島・石井毅、浪商・牛島、香川らも出場。ともに序盤で姿を消したが翌年のセンバツでは大会の主役に躍り出た。決勝は商業対決で浜松商が福井商を2―0で破り初優勝。静岡勢としては26年ぶり3度目の頂点だった。福井商は北陸勢初の準優勝だった。

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2020年3月30日のニュース