大船渡・佐々木 遠く険しい道のりは甲子園だけではなかった

[ 2019年7月4日 08:00 ]

練習試合を終え、記者の質問に答える大船渡・佐々木(撮影・木村 揚輔)
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 163キロ右腕・佐々木朗希投手(3年)を擁する岩手・大船渡が6月30日、秋田県由利本荘市内で由利との練習試合を行った。ナインは朝5時に集合し、球場まで約200キロをバス移動。到着は午前8時40分頃で、長距離移動を強いられた。

 試合後の取材対応、記念撮影などを終え、バスに荷物を入れ始めたのは午後4時30分過ぎ。スムーズに帰路についても、行きと同じ3時間30分ほどの移動となれば午後8時を過ぎる到着になる。早朝に出発し、夜に帰り着くハードなスケジュールだ。

 これについて国保陽平監督に聞いてみると、笑い話を語るかのようにこう返ってきた。「慣れているんで」。地元や近隣の市町村出身者の多い公立校なだけに「選手たちは小学生の頃から、朝早い時間に集合して、バスで内陸まで行って試合をしてきました。それが普通。だから慣れているんです」と、一見困難、ハンデとも見られる長距離移動を苦と感じさせない口ぶりだった。

 実際、ナインは球場入りの際、相手チーム関係者、報道陣らに元気よくあいさつし、1時間ほどのウオーミングアップも声を出しながらテキパキとこなした。試合は中盤に勝ち越しを許すも、8回に同点、9回に勝ち越す好ゲーム。疲労感を微塵も感じさせない姿だった。

 バスが帰路についたのは午後5時。帰りは由利ナインに手を振られながら出発した。甲子園出場までは、15日の遠野縁峰との初戦から10日間で6試合を戦い抜く強行日程。さらに、盛岡大附を中心とした強豪私立との試合も予想され、地元出身者中心の公立校としては簡単な道ではない。それでも佐々木朗は「公立高校としても、大船渡高校としても、壁を打ち破りたい」。ファインダー越しに見たその目からは、困難を苦とせず、逆境をはねのけようという強い気持ちが感じられた。(写真部・木村 揚輔)

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