広島・九里、6年目の初完封 記念球は行方不明「龍馬にスタンドに投げられたので…」

[ 2019年6月26日 05:30 ]

交流戦   広島2―0楽天 ( 2019年6月25日    楽天生命パーク )

9回無死一塁、茂木を投ゴロ併殺打に打ち取り、吠える九里(撮影・吉田 剛)
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 広島・九里亜蓮投手(27)が25日の楽天戦で6年目で自身初の完封勝利を無四球で飾り、チームの連敗を3で止めた。散発3安打で二塁すら踏ませなかった。交流戦は5勝12敗1分けで5年ぶりの最下位に終わったが、九里の好投は28日に再開するリーグ戦に向け、大きな光を灯した。

 ヒーローインタビューの最後に九里は笑いを交えて“返却”を訴えた。「初完封のボールは(西川)龍馬にスタンドに投げられたので、もう一度、同じような投球をしてボールをもらいたい」。9回2死から島内の左飛を処理した西川が楽天ファンが陣取る左翼スタンドへそのまま投入。その後も記念球が戻ってくることはなかった。

 試合は「困ったときの九里」がこれ以上ない力を発揮した。中継ぎを苦にしない“便利屋”と呼ばれても、こだわり続けた先発。自身66度目の先発で初完封を飾り、交流戦で苦戦を強いられたチームを最後に救った。

 2回2死からウィーラーに左前打されて以降、8回先頭の銀次に中前打されるまで16人連続アウト。うち11個のアウトをゴロで奪うなど抜群の制球力も示した。8回2死一塁から山下の三塁線への小飛球に対し「ああいうプレーになるとは…」と、頭から飛び込んで好捕するほど気迫に満ちあふれていた。

 9回のマウンド上では、ほろ苦い記憶が蘇った。昨年6月17日のソフトバンク戦で自身初完投勝利を挙げたが9回に2被弾した。「今日は点を取られないように一人一人投げた」。先頭の辰己に中前打を許したが茂木を投ゴロ併殺。島内を107球目の外角シュートで左飛に仕留めた。

 「ある程度(全球種を)投げ切れた。会沢さんのリードに感謝したい」

 この日の直球は自己最速に並ぶ149キロを計測。昨季から変化を加えた筋トレが生きた格好だ。「重いものを持つことが重点的だったけど、動きながらだったり、瞬間的なものを増やした。それをシーズン中も継続したことが直球にいいように出ていると思う」。自主トレ先の米国で学んだトレーニング方法を、昨季からトレーナーと相談しながらシーズン中にも採用。昨オフには、自主トレ先をフロリダに変更して新たな知識も蓄えた。今季は不調から1度先発を外れたが「トレーニング内容は変えずにやってきた」と中継ぎ期間も鍛え続けたことが報われた。

 チームの連敗を3で止め、緒方監督からも「九里に尽きる。本当にナイス投球だった」と称えられた。交流戦は5勝12敗1分けもリーグ首位の巨人とは1ゲーム差なのが不幸中の幸いとも言える。赤ヘルが掲げる「守り勝つ野球」を最後に思い出し、再開するリーグ戦に向かう。(河合 洋介)

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