「あなたを看護します」広場恐怖症と戦うプロ野球選手を支える23歳妻 夫は病克服へVRで訓練

[ 2019年6月26日 20:45 ]

ロッテの永野将司投手
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 今年3月に不安障害の一種である広場恐怖症を公表したロッテの2年目左腕・永野将司投手(26)が26日にTBSで放送された3時間特番「壮絶人生ドキュメント プロ野球選手の妻たち」(後7・00)に出演。妻・紗央里さん(23)の献身的な支えを受けながら続ける闘病生活の一端が明かされた。

 飛行機、新幹線、バス、タクシー。移動手段として欠かせない乗り物だが、広場恐怖症を患っている永野がそれらに乗るのは容易ではない。「このまま死ぬんじゃないかっていうか。心臓がぐわーってこう…圧迫されそうな。気が狂いそうな感じです。このまま死んでしまう、みたいな」。

 克服のため、現在日課にしているのはVR(仮想現実)での疑似体験。乗り物に慣れるのが大事だと医師から聞いた妻の提案で始めたもので、リアルな音と映像を見ることで電車に慣れるためのトレーニングだ。疑似体験でも恐怖を感じる夫の脈拍をみながら寄り添う妻。体調の変化を見ながら慎重にトレーニングは続けられ、これを一日に何度も繰り返すという。

 時にはトレーニングのため夫婦で本物の電車に乗ることも。乗るのは決まって各駅停車。わずか数分程度の駅間でも不安に駆られる夫の気持ちを少しでも落ち着かせようと、紗央里さんは常に夫の体に手を添え、脈拍を測る。この日は新宿から狛江までの15駅、約30分間を無事に乗り切ることができたが、永野の口からは「長かったな…」と本音が漏れた。

 「これをどんどん積み重ねてって、快速とか乗れるようになれればいいかなっていう期待はあります」と紗央里さん。電車訓練だけでなく食事にも気を配り、オメガ3脂肪酸には不安を和らげる効果があると聞いてからオメガ3脂肪酸を多く含むイワシやサバなど青魚を欠かさないようにしている。この日はひき肉の代わりにサバを使った「サバーグ」のほか「サンマとニラの炒め物」「サンマのオーブン焼き」「イワシのしょうが煮」といった心づくしのメニューが並んだ。「普通にうまい。ハンバーグみたい」とサバーグを頬張る永野。「ありがたいです」と妻への感謝を口にした。

 社会人のHondaから2017年ドラフト6位でロッテに入団した永野だが、最初に異変を感じたのは高校入学後。電車通学するようになってからだった。電車に乗っただけで息が苦しい。それでも当時は乗車時間が10分ほどだったため我慢して乗り切った。だが、大学進学後に寮から練習場に向かうチームのバスに乗ると大きな症状が。ドアが閉まった瞬間に恐怖感がこみ上げ、心臓はバクバクと音をたてる。たまらず、途中下車。その後、特別に許可を得て自家用車での移動に切り替えると症状は出なかった。

 「自分で運転すると好きな時に止まれるし、最悪、高速でも路肩に止められるんで。安心感っていうか…解放されている感じがあります」。

 今年2月の沖縄キャンプには参加できず。ロッテの73選手中、唯一、居残りとなった。「キャンプに行けないってどうなんだろうって。プロ野球選手で。不安と…悔しい気持ちと」と話す永野。出会った当時には看護師を目指す学生だった紗央里さんは「あなたを看護します」とドラフト指名から1カ月後の2017年11月に永野と結婚。病と闘う夫を支えてきた。

 永野が今年3月に病気を公表したのは、そんな妻の強い思いがあったから。「病気を受け入れてもらえることで、自分も受け入れられるようになってくるのかなって」(紗央里さん)。公表後はファンや芸能人など多くの人から励ましのメッセージが寄せられ、中には同じ病気を克服した人たちからのアドバイスも。治った人がいるという事実が何より若い夫婦を勇気づけた。「治る病気と思って闘える」。紗央里さんの言葉に永野がうなずいた。

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