オリ田嶋353日ぶり白星「野球を楽しむという原点に戻れた」

[ 2019年6月6日 05:30 ]

交流戦   オリックス5―0DeNA ( 2019年6月5日    京セラD )

約1年ぶりの勝利を挙げた田嶋(撮影・井垣 忠夫)
Photo By スポニチ

 オリックス・田嶋は昨年6月17日のDeNA戦以来、353日ぶりのウイニングボールを握りしめて笑った。勝利の喜びではない。「野球を楽しむという原点に戻れた」。期待を背負い続けてきた重圧はなくなった。4回、筒香に中前打を打たれて時に「あっ、ピッチャーやっているな」と実感。小学生以来の感覚に酔いしれた。

 昨年6月24日のソフトバンク戦以来の登板。ほとんどの直球が球速140キロ台前半だった。「(150キロ超を出した)上半身だけでぶん回していた」という投球フォームを捨て、痛めた左肘に負担のかからない下半身主導のフォームと闘志で勝負した。3回1死一、二塁では宮崎をスライダーで遊ゴロ併殺。球数がかさんだことに不満を残しても6回途中まで無失点に抑え、堂々の勝利をつかんだ。

 昨季は開幕からの3カ月で6勝。新人王候補にも挙がった中で離脱し、「積み重ねたものが一気に崩れた。長いトンネルに入った感じだった」とふさぎ込んだ。1軍の試合をテレビで見る気にはなれなかった。そんな左腕を支えたのは佐野日大の同級生たちだ。

 ほとんどが野球を辞めた友人たちから「おまえはおまえでいいんだ」と言われ、心が落ち着いた。「助けてもらった。自分がどの方向に行っていいか分からなくなったが、信じていけた」。大好きな祖父母の応援も心に響いた。「1週間前も、いつ投げるの?と連絡が来ました。投げている姿を見せたい」。期するものがあった復帰戦はチームを今季最悪の5連敗からの脱出へ導く復活劇になった。

 疲労を考慮し、6日に登録を一度外れる予定でも西村監督に「見事な投球」と称賛され、次回登板を約束された。「この1年は長かったが、いい経験ができました」。止まっていた時計の針が動きだした。(鶴崎 唯史)

続きを表示

2019年6月6日のニュース