新ポスティングで「大谷特例」を協議 別枠設定で2000万ドル確保を検討

[ 2017年9月14日 08:00 ]

キャッチボールをする大谷
Photo By スポニチ

 プロ野球のオーナー会議が13日、都内のホテルで開かれ、MLBと協議中の新たなポスティングシステムに関する中間報告が行われた。契約総額に応じたパーセンテージで旧球団に譲渡金が支払われる2つの案が検討されていることが判明。今オフの移籍を目指す日本ハム・大谷翔平投手(23)は新労使協定により総額が抑えられてしまうため、譲渡金を現状の2000万ドル(約22億円)に据え置く「特例」が協議されているもようだ。

 会議後に巨人・老川祥一オーナーが「2つの案ですね」と中間報告の内容を明かした。同オーナーによると、新ポスティングシステムでは譲渡金が(1)年俸総額(契約金、複数年契約、出来高払い)の15%(2)年俸総額1億ドル(約110億円)未満は15%。年俸総額1億ドル(出来高払いを除く)以上では2000万ドル(約22億円)で固定、の2つが検討されているという。

 現行の制度では譲渡金には2000万ドルの上限が設定されている。仮に新制度が(1)に決定すれば、大型契約を締結することで、現制度以上の譲渡金が旧球団に入る計算にもなる。しかし、今オフのメジャー移籍を決断した大谷はここには含まれない。新労使協定の対象となるため大型契約が結べず、日本ハムに入る譲渡金も大幅な減額が必至。そこで別枠として協議されているとみられるのが「大谷特例」だ。

 大リーグの新労使協定では、25歳未満でドラフト対象外の外国人選手との契約上限は575万ドル(約6億3250万円)。加えて最初はマイナー契約となる。大谷は23歳。そこで例えば25歳以下、NPB在籍6年未満などの条件を設定し、その場合は年俸総額にかかわらず譲渡金は現状の2000万ドルに据え置く、というものだ。

 日本球界の宝ともいうべき二刀流右腕が、不合理を被ることなく移籍できるようにする例外措置。ただ、新制度はいまだ交渉中で、流動的な部分も含まれる。仮に期限である10月31日までに新制度がまとまらずに「失効」した場合は、暫定的に現行制度を適用させる可能性もあるという。

 前日の登板にはメジャー16球団32人の関係者が集結。破格の安さゆえにメジャー全30球団が獲得に動く可能性がある中、「大谷特例」も含めて交渉の行方に日米球界の熱視線が注がれている。

 ◆ポスティングシステム 海外フリーエージェント資格取得前に米球界に移籍できる制度で、98年12月に成立。当初は入札金額に上限はなく、最高額で落札した球団に独占交渉権が与えられた。しかし、入札額の高騰などで13年に一度は失効し、現行の制度に。現在は譲渡金の上限2000万ドル(約22億円)で、設定額に応じる全ての米球団が交渉可能だが、現制度は10月31日で契約終了となる。

 ≪「拒否権」条項も≫交渉中の2案とも譲渡金は年俸総額に応じたパーセンテージとなり、旧球団は契約締結まで金額を把握できない。そこで、金額が低く移籍を容認できないような場合は旧球団が「拒否権」を発動できる条項を盛り込む可能性もあり、細部の交渉が今後も続けられるとみられる。一方で、13年オフの田中(ヤンキース)の総額1億5500万ドル(約159億7000万円=当時)のような大型契約を結べば、譲渡金は現行の2000万ドル以上になることも可能とのメリットもある。

続きを表示

この記事のフォト

2017年9月14日のニュース