宇部鴻城・荒武 孤軍奮闘 救援&マルチ「一番長い夏にする」

[ 2017年3月26日 05:30 ]

第89回選抜高校野球大会第6日・1回戦   宇部鴻城0―11大阪桐蔭 ( 2017年3月25日    甲子園 )

<大阪桐蔭・宇部鴻城>5回無死、宇部鴻城・荒武がこの試合2本目のヒットを放つ
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 1回戦1試合と2回戦2試合が行われた。1回戦のトリで登場した宇部鴻城(山口)は0―11で大阪桐蔭に大敗した。3度目のセンバツ出場も春1勝は持ち越しとなったが、5番の荒武悠大内野手(3年)がチーム全安打となる2安打。投手としても初回から救援し、5回105球を投げるなど孤軍奮闘した。26日の大会第7日第2試合では福岡大大濠がベスト8進出を懸けて滋賀学園と対戦する。

 肩を震わせて戻ってきた一塁側ベンチ。荒武に待っていったのは粋な計らいだった。「夏、もう一度、来いよ」。美野正則球審が土の付いた試合球を手渡してくれた。

 「悔しさを忘れないよう、このボールは常に持っていようと思います」

 夢の舞台で突きつけられた現実は厳しいものだったが、大敗を喫したチームにあって、荒武の打撃は唯一の光明となった。2回1死から左前に落としチーム初安打。さらに5回先頭でも左前打で出塁。いずれも逆方向に運んだ巧打で、チームの全2安打を放った。荒武は「つなぐ意識が結果的に2安打になった。少しは自信になりました」とはにかんだ。

 ただ、悔しさが残ったのはマウンドだった。先発・早稲田が1死も取れずに初回途中で降板すると、0―3の無死一、三塁で救援した。

 「この春で流れを変えたかったが…」。昨秋の明治神宮大会。初戦の札幌第一戦で5―5の8回から2番手として救援したが、9回にサヨナラ打を許した。野手より投手としての将来を描く荒武は、下半身をいじめ抜いた一冬を越えて球速は5キロアップして最速143キロ。しかし、この日は134キロ止まりで、4回に山田に2ランを浴びるなど5回を7安打5失点で投げ終えた。

 アルプスで声をからした荒武華穂マネジャー(3年)はいとこにあたる。荒武マネジャーは「投げるなら背番号1を背負ってほしい」との願いに、荒武は「立つ以上はマウンドに一番に立つ。エースとして絶対、一番長い夏にする」と再び聖地に戻ってくることを約束した。 (井上 満夫)

 ▼宇部鴻城・尾崎公彦監督 攻守ともにまだ全国で通用する力ではなかった。投手の球がいとも簡単にはじき返された。

 ▼宇部鴻城・早稲田(先発も1死も取れずに初回途中で降板)もう少し投げたかった。技術よりも気持ち。心を強くして夏に帰ってきたい。

 ▼宇部鴻城・楢木(二塁手で5回に2失策)守備には自信を持っていたが緊張で足が動いていなかった。エラーした後は震えが止まらなかった。

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