石橋、21世紀枠候補に カール・ルイスと走った男が走塁“革命”

[ 2016年12月17日 05:46 ]

ナインに走り方を指導する栗原教諭(左)                           
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 日本高野連は16日、第89回選抜高校野球大会(来年3月19日から12日間、甲子園)の21世紀枠候補校9校を発表した。関東地区では進学校ながら今秋栃木県大会で準優勝し、関東大会に出場した石橋が選ばれた。出場3校は一般選考の29校(神宮大会枠含む)とともに来年1月27日の選考委員会で決まる。東(東海、北信越以東)と西(近畿以西)で1校ずつ、残り7校から1校を選出する。

 午後5時すぎ。推薦決定の報を聞いた石橋ナインは真っ暗なグラウンドで早速、走塁練習を行った。小さなハードルを使い、足を高く上げたフォームでランニングを繰り返す。指導するのは88年ソウル五輪に出場し、100メートル2次予選であのカール・ルイスと走った栗原浩司教諭(52)。陸上部顧問のかたわら、野球部のアドバイザーを務め「速く走るためにはどうするか。関わることができて大変うれしい」。センバツ出場へ向け、チームに走塁改革をもたらす。

 創部82年目の県立高は、今秋県大会で快進撃を見せた。「当たって砕けろの精神で、持っている以上のものを出してくれた」(福田博之監督)と、3回戦の文星芸大付戦からシード校に3連勝。決勝では今夏甲子園Vの作新学院に敗れたが、6回まで1−1の接戦を演じた。初出場だった関東大会を含め全7試合、61イニングを一人で投げ抜いたエース右腕・竹内は「自分の投球をすれば通用すると思った」と話した。

 チームが関東大会後から本格的に取り組んでいるのが走り方の意識改革。栗原教諭は「力じゃなくてコツ。選手は吸収が早い」とうなずく。盗塁増はもちろん、守備面など全体的なスピードアップも狙う。遊撃手の入江主将は「自分も腕の振りが悪かったけど、より楽に足を前に運べるようになった」と大舞台で自慢の足を披露する日を心待ちにしている。

 文武両道の進学校。50分の授業が7限目まであり、1日の練習は2時間ほど。部員は全員が栃木県出身で中学時代はほぼ全員が軟式しか経験していない。だからこそ創意工夫で戦う。五輪直伝の走塁は大きな武器になる。(鈴木 勝巳)

 ◆栗原 浩司(くりはら・こうじ)1964年(昭39)5月2日、栃木県生まれの52歳。佐野入学後に陸上を始め、高3時に島根国体の100メートルで優勝。筑波大を経て、足利工の定時制教諭を務めていた88年にソウル五輪の100メートル、400メートルリレーに出場した。100メートルの自己ベストは10秒44で、カール・ルイスやベン・ジョンソンと一緒に走った経験を持つ。13年に石橋に赴任。

 ▽21世紀枠 2001年の第73回大会で初めて導入され、秋季都道府県大会において参加校数128校を超える大会はベスト16、それ以外はベスト8以上から候補を選ぶ。困難な条件の克服など戦力以外の特色を加味して地区ごとに1校(計9校)が推薦。07年の79回大会までは2校、08年の80回大会からは3校が選出されている。13年の85回大会は4校が選ばれた。

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