新井さん「まさか」締めＭＶＰ　３９歳はセ歴代最年長「冗談かなと」

スポットライトを浴びて登壇する新井。セ・リーグベストナイン賞と最優秀選手賞を受賞した
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　今季のプロ野球のタイトル獲得者らを表彰する「ＮＰＢ　ＡＷＡＲＤＳ　２０１６　ｓｕｐｐｏｒｔｅｄ　ｂｙ　リポビタンＤ」が２８日、都内で開かれ、セ・リーグ最優秀選手（ＭＶＰ）には広島・新井貴浩内野手（３９）が選ばれた。プロ１８年目の初選出で、３９歳はリーグ最年長受賞。チームを２５年ぶりのリーグ優勝に導いたミラクルイヤーを最高の栄誉で締めくくった。パ・リーグＭＶＰには日本ハム・大谷翔平投手（２２）が初選出された。

　ＭＶＰ発表の瞬間、会場から歓声が湧き上がった。今季、数々の「まさか」を成し遂げ、チームを２５年ぶりのリーグ優勝に導いた新井に最後の「まさか」が待っていた。

　「最初聞いた時は冗談かなと思った。今年一年、まさかまさかと言われ続けて、最後に自分がこんな賞をもらえるとは思ってもいませんでした」

　３９歳で自身初のＭＶＰ。これは１０年の中日・和田の３８歳を超えるセ・リーグ最年長記録だ。「最年長ですか。年は取っているけど、そういう意味では少しは“よく頑張った”と自分を褒めてあげたい」と笑った。

　今季は１３２試合出場で打率・３００、１９本塁打、チーム最多の１０１打点をマーク。最長ブランクとなる１１年ぶり２度目のベストナインにも輝いた。通算２０００安打、通算３００本塁打も記録。大きな２つの個人記録を達成した「新井さん」は広島の枠を超えて、球界の人気者となった。

　受賞スピーチの冒頭。新井は「黒田さんに思いっきりガッツポーズして（あいさつに）出て行けと言われたんですけど…」と切り出し、壇上からコミッショナー功労賞を受賞した盟友に視線をやった。新井のＭＶＰを誰よりも喜んだのが黒田だ。「（一昨年オフ）一緒に（広島に）帰ってきた時、２年後にこんな成績を収めるとは思わなかった。あの年齢で努力が結果に出て、僕もうれしい」と称え、「結果もだけど、それ以外のことでもチームを引っ張っていける選手」とリーグ連覇を目指すナインの精神的支柱となるよう、エールを送った。

　来年１月には４０歳となる新井。最近は年齢を口にすることが増えてきた。それは自分への驚きからで「入団した時は２、３年で駄目だなと思っていた。４０歳までやる自分なんて想像できるわけがなかった」と目を大きく見開く。黒田の引退により来季はチーム最年長。「今年より道はさらに険しくなっていくとは思うけど、みんなで一体となって日本一を目指して頑張っていきたい」。自身のスタイル同様に壁をぶち破り、来季は３３年ぶり日本一の座をつかむ覚悟だ。

　≪門田４０歳に次ぎ３８歳和田超え≫新井（広）がＭＶＰを受賞。チームでは９１年の佐々岡以来２５年ぶり７度目（６人目）。３９歳シーズンの受賞は８８年門田博光（南海）の４０歳シーズンに次ぐもので、セ・リーグでは１０年和田一浩（中）の３８歳シーズンを上回る最年長記録となった。

　≪新井まさかの１年≫

　☆まさかの２０００安打　４月２６日のヤクルト戦（神宮）で達成。２１１２試合での到達は大学・社会人出身では最も遅い。

　☆まさかのサヨナラ弾　７月１８日の中日戦（マツダ）で９回にサヨナラソロ。広島在籍時では０２年５月２９日の中日戦（仙台）以来自身２本目で、本拠地球場では初めて。

　☆まさかの通算３００号　８月２日のヤクルト戦（神宮）で２ラン。２１７９試合での到達は、松原誠（大洋）の１８６２試合を更新する史上最遅ペース。

　☆まさかの胴上げ　９月１０日の巨人戦（東京ドーム）でリーグ優勝。緒方監督、黒田に続き５度宙に舞った。

　☆まさかの１００打点　９月２４日のヤクルト戦（マツダ）で自身６年ぶりに到達。３９歳シーズンでの１００打点超えは山本浩二らの３７歳を抜く球団最年長記録。

　☆まさかのベストナイン　０５年以来２度目の選出。１１年ぶりは山崎武司（楽天）に並ぶ最長ブランク。

　☆まさかの絵本化　半生を切り絵で描いた「新井貴浩物語　がむしゃらに前へ」（南々社）が１２月１０日に全国の書店で発売へ。