固い絆で結ばれた中日・小笠原とオリ吉田凌「今年は連絡しないっす…」

[ 2016年6月23日 10:30 ]

卒業証書を手に笑顔の中日・小笠原とオリックス吉田凌

 野球界で「ライバルっていいな」と感じることがよくある。最近では、中日のドラフト1位・小笠原とオリックスの5位・吉田凌。2人は東海大相模で約3年間を共に過ごした戦友。左の小笠原、右の吉田。二枚看板で切磋琢磨しながらチームを昨夏、全国制覇に導いた。

 ともにプロ生活をスタートさせ、迎えた3月10日。神奈川県内で同校卒業式に出席した2人を取材した。高校生活の思い出を聞かれた小笠原は「(夏の)甲子園で優勝したこともそうですし、それを評価していただいてもらったドラフト会議」と語り「この(野球部の)メンバーじゃなかったら全国制覇できなかったし、支えてくれた保護者の方々、ライバルの吉田がいたから成長できた」と感謝しきりだった。ただ、式の前日9日から学校行事に参加していたにも関わらず、クラスの違う吉田凌とは全く話さなかったという。

 一方の吉田凌は「すばらしい3年間を過ごせた」と笑顔。先に1軍のオープン戦で登板していた小笠原について聞かれると「いい刺激をもらっている。いつか日本シリーズで投げ合えたら」と固い決意を語っていた。ちょっと照れくさそうにしながら、最後はカメラマンのリクエストに応えて卒業証書を手に2人で記念撮影。吉田凌は去り際、私を含めた中日担当の記者陣に「小笠原のこと、お願いしますね」と笑顔で頭を下げていた。

 なぜこの出来事を思い出したかというと…。6月20日は吉田凌の誕生日。休日を返上してナゴヤ球場の室内練習場で汗を流していた小笠原はベンチに腰を降ろして「きょう吉田の誕生日だ!」。ツイッターを見て思い出したという。昨年はプロペラのついたカラフルな帽子をプレゼントし、10月の自身の誕生日には、ハンカチを贈られた。小笠原の携帯電話には、プロペラ帽子で笑顔の吉田凌の写真が保存されていた。思い出を明かしながら楽しそうな笑みを浮かべたが、祝福の連絡を進めると「今年は連絡しないっす…」の一点張り。入寮の際、小笠原は吉田凌とのツーショット写真を持ち込んでいたはずだった。

 素直じゃないけど固い絆で結ばれたライバル関係。ぜひ将来、1軍の舞台で投げ合いが実現してほしい。その際は2人のコメントにも注目したいところだ。(記者コラム・細川真里)

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2016年6月23日のニュース