松井氏 現場復帰に前向き?「やっぱり気持ちは野球人ですよ」

[ 2014年3月6日 05:40 ]

最後の打撃投手を務める松井臨時コーチ

 ヤンキースOBとしてキャンプに参加していた松井秀喜氏(39)が4日(日本時間5日)、臨時コーチの仕事を終え、自宅のあるニューヨークへ戻った。2月1日から巨人、ヤ軍と日米の名門球団で経験した約1カ月間の指導者生活。12年シーズンでの現役引退後は球界から一歩引いたスタンスを貫いてきた松井氏だが、自らを「生涯野球人」と再認識し球界復帰に意欲的な言葉を口にした。

 2月20日から13日間に及んだヤンキースでの臨時コーチ。巨人の宮崎キャンプでは披露することがなかった背番号55のユニホームに毎日袖を通した。懐かしいタンパの日差しと天然芝のにおい。「僕にとっては特別」というチームで練習を手伝い、オープン戦ではベンチにも入った。松井氏は感慨深げに振り返った。

 「懐かしさとともにいい時間を過ごせた。ユニホームを着てグラウンドに出るとね、やっぱり気持ちは野球人ですよ。選手の時とは違いますけど、野球を見ているという意味では変わらないような気がします」

 そう感じさせたのは、ピンストライプの重みだ。愛するヤ軍を離れてから5年。09年にともに世界一に輝いたメンバーは今季限りで引退するジーターらごくわずかとなったが「基本的には変わっていない。ヤンキースの雰囲気とか、哲学的なものは変わっていない気がする」とうなずいた。

 12年12月27日のニューヨークでの現役引退会見以来、周囲が望む指導者としての復帰待望論に「もう少しゆっくりさせてほしい」との言葉を繰り返してきた。しかし今回、初めて「野球人」という言葉を使い、ユニホームを着た事実に「気持ちが引き締まる」と言った。

 2月1日から13日までは巨人の宮崎キャンプで、大田ら若手を積極的に指導し「コーチ」としての経験を積んだ。ヤンキースでは、野球人としての本能がよみがえった。臨時コーチとしての仕事はひと区切り。「この経験が将来生きるかどうかは別ですけど、いい経験になりました」と充実した表情で語った。

 今後は未定。しばらくはニューヨークで家族とゆっくり過ごすことになる。将来的な現場復帰について聞かれると「フフフ…。それはもう何とも言えないですけど、そればかりは」と笑った。明言こそ避けたが、「野球人・松井秀喜」を再認識した約1カ月だった。

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2014年3月6日のニュース