マー君 運命の2日間…新ポスティング、28日決着か

[ 2013年11月26日 05:30 ]

楽天の納会でチームメートと話をする田中

 ポスティング・システム(入札制度)の新制度制定を目指し、日本野球機構(NPB)の伊藤修久(のぶひさ)法規部長らが、26日に渡米する。現地で大リーグ機構(MLB)と直接交渉する。米国の感謝祭にあたる28日(日本時間29日)からの週末は交渉がストップするとみられ、26、27日(同27、28日)の2日間が正念場。入札制度によるメジャー移籍が確実視される楽天・田中将大投手(25)にとっては「運命の2日間」となる。

 伊藤法規部長は、NPBの顧問弁護士とともに26日、MLB本部のあるニューヨークに向けて出発。到着後に即、交渉のテーブルに着く予定だ。同氏は約20年間、国際担当として日米間の選手契約などMLBとの交渉の窓口を務めてきた。日米の機構間で合意後の流れについて「日米双方が即日、各球団に条文を流して承認作業をやることになると思う」と見通しを明かした。

 NPB側は、今回を最終交渉と位置付けているという。理由は、米移籍市場における日程上の問題だ。12月2日(日本時間3日)は各球団が戦力外選手を確定させる期限。ここで余剰人員となった選手が市場に出る。その後、9~12日(同10~13日)のウインターミーティングで市場が本格化する。

 既に今月にも9年連続2桁勝利のハレン(ナショナルズ→ドジャース)、通算205勝のハドソン(ブレーブス→ジャイアンツ)ら注目のFA先発投手が移籍。制度改定が来月以降にずれ込めば、田中争奪戦に参戦する球団が減るばかりか、参戦する球団も田中への予算が減る可能性が高くなっている。

 新制度は、一度は日米間で合意。しかし、日本側が国内での調整に時間がかかったことなどを理由に、MLBのロブ・マンフレッド最高執行責任者が「情勢が変わった」などとして取り下げ、修正案を提出することを決めた。その後、20日に日米間の交渉を再開して早期合意を目指す方針を確認。電話などで協議を続けていた。

 MLBからの修正案は当初の新制度案((1)入札額は1位と2位の中間、(2)交渉決裂なら米国の入札球団がMLBに罰金を払う)と比べ、日本側に厳しい提案になることが確実。それでも、NPB側はMLB側の修正案を「丸のみ」するつもりはなく、12球団からの意見を携え、強気の交渉で好条件を引き出すことを目指す。一方で、MLB側としても、制度改定をめぐりオーナー会議が紛糾するなど、了承が必要な30球団が決して一枚岩ではない弱みはある。

 運命の2日間。タフな交渉を乗り越えた末に、「TANAKA」の未来が開ける。

 ▼楽天・立花陽三球団社長 向こうの26、27、28日あたりに会談を持つ予定だとは聞いている。これまで話してきた通り、制度がどういう仕組みになるのかを確認した上で球団内で話をして、田中選手とミーティングする形になると思います。

 ▼NPB井原敦事務局長 米国内の30球団の問題だから、向こう次第。こちらの希望が通るかは分からない。

 ◆ポスティング制度の経緯
 ▼12年6月 従来の制度では入札額の高騰を招くとして、MLBが「日米間選手契約に関する協定」の破棄を通告。
 ▼13年10月末 新制度の内容が決定。日本球団が獲得する金額は入札額1位と2位の中間とし、破談の場合は米国側の入札球団に罰金を科すことでほぼ合意。
 ▼同14日 新制度の導入に反対していた選手会が、条件付きで導入を了承。2年間の限定に加え、海外FA権の取得期間短縮を要求。
 ▼同15日 MLBが新制度を取り下げ、修正案を提出すると発表。「日本の総意が出るのに時間がかかり過ぎた」と理由を説明。
 ▼同20日 早期合意を目指す方針を確認し、日米間の交渉を再開。

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2013年11月26日のニュース