ダルにサイ・ヤング賞有力候補の声 野茂超え日本人最速300K

[ 2013年5月13日 06:00 ]

<アストロズ・レンジャーズ>両リーグトップに並ぶ6勝目を挙げたレンジャーズ・ダルビッシュ

ア・リーグ レンジャーズ8―7アストロズ

(5月11日 ヒューストン)
 レンジャーズのダルビッシュ有投手(26)が11日(日本時間12日)、アストロズ戦に先発し、7回3安打3失点、8奪三振で両リーグトップに並ぶ6勝目を挙げた。両リーグトップを独走する奪三振を80まで積み上げ、大リーグ通算300奪三振を達成。デビューから37試合目での到達は96年の野茂英雄(ドジャース)の38試合を上回り、大リーグ歴代2位のスピード記録となった。日本人投手初のサイ・ヤング賞獲得も夢ではない。

 憎らしいほど冷静だった。6回、ダルビッシュは先頭パレーデスから見逃し三振を奪い、大リーグ通算300奪三振を達成。その感想がこれだ。 「三振を取る競技ではないので、何も思いません」。野茂の38試合を上回る37試合での達成。大リーグ全体でも「ドクターK」と呼ばれ、メッツなどで活躍したドワイト・グッデンの35試合に次ぐスピード記録でもだ。

 それでも、意地で三振を奪う場面もあった。5点リードの7回1死一、三塁。ドミンゲスを迎えた。日本時代も含め、2打席連発を初めて許した相手。しかも8番打者だった。「高校の時にあるので、初めてではない」と言うが、プロ入り初の屈辱。闘志に火がついた。1ボール2ストライクと追い込み、外角低めのスライダー。ボール球を見逃されたが、再び同じ球種、同じコースに投げ、空振り三振を奪った。

 野茂はフォークという絶対的な決め球で三振の山を築いたが、ダルビッシュはスタイルが異なる。150キロ台の直球、スライダー、カットボール、ツーシーム、カーブ、スプリット、チェンジアップ。7種類の球種を使い分け、その精度の高さで全てを決め球にする。

 多彩な変化球。対戦球団も徹底的に研究しており、この日は4月2日に完全試合まであと1死に抑え込んだアストロズが相手だった。「2ストライクに追い込んでから変化球が頭にあるなというのがあったので、途中から真っすぐ系を多くした」。その上で、めったに見せない投球も見せた。

 4回、先頭で3番アルテューベを迎えた場面。打率・336の右打者に対し、体付近から曲げるスライダーで見逃し三振を奪った。いわゆる「インスラ」だ。右打者へのスライダーは外角に投げるのが定石だが、狙われていると察知し、コースを変更。相手の研究を上回る洞察力を見せた。

 両リーグトップタイの6勝に、独走する80奪三振。大リーグ公式サイトは「YU CAN DO IT(ユウならできる)」と題した特設ページを立ち上げ、ア・リーグでは99年ペドロ・マルティネス(レッドソックス)以来となるシーズン300奪三振へ期待を寄せた。米メディアも日本人投手初となるサイ・ヤング賞の有力候補と騒ぎ、次戦は注目を集めている。中4日で16日(日本時間17日)タイガース戦に先発予定で、投げ合う相手は11年にサイ・ヤング賞に輝いたバーランダー。でもユウなら勝てる。

 ≪大リーグ記録は35試合≫ダルビッシュがデビューから37試合で300奪三振を達成。メッツのドワイト・グッデンが85年4月24日カージナルス戦に到達した35試合に次ぐ、大リーグ史上2番目の速さとなった。日本ハム時代は、57試合目となった07年8月2日の西武戦(当時グッドウィル)で到達。また1試合に同じ打者に2本塁打を許すのはメジャーでは初めてで、日本ハム時代は1度。09年8月21日ソフトバンク戦(当時ヤフードーム)でオーティズに2回と6回に被弾。

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2013年5月13日のニュース