ロッテドラ4の翔平 63年ぶり新人プロ初打席初球1号&猛打賞

[ 2013年5月13日 06:00 ]

<ロ・楽>3回、先頭のロッテ・加藤は初球を右越えにソロ

パ・リーグ ロッテ5-4楽天

(5月12日 QVC)
 幕張の翔平もヨロシク!!ロッテのドラフト4位・加藤翔平外野手(22)が12日、楽天戦でプロ初打席となった3回の初球を右翼席へ運んだ。初打席初球本塁打は史上7人目で、新人では1950年の塩瀬盛道(東急)以来63年ぶり2人目。左太腿痛で出場選手登録を抹消された角中勝也外野手(25)の代役として1軍初昇格で結果を残し、サヨナラ勝ちにも貢献した。「翔平」といえば、日本ハム・大谷翔平投手(18)が話題を集めるが、こちらの翔平もただ者ではない。

 加藤はこの日届いた父・正さんからのメールを思い出した。「長嶋さんのデビュー戦みたいに思い切り振ってこい!」。3回、永井の初球のチェンジアップを叩いた。打球はラインドライブで右翼席へ。ベース一周、笑う余裕もあった。

 「最初は緊張したが、やっていて楽しさというか、野球がいいなと思った。自分が勢いをつけられたかは分からないが、勝ちにもつながって良かった」

 それにして、この男は何かを持っている。昨季首位打者の角中が左太腿痛で離脱したチャンスで、仰天の初打席初球本塁打。新人では50年の塩瀬(東急)以来63年ぶりの快挙で、新人野手としては史上初となる。だが、球史に残る一発は偶然だけではない。帽子のひさしには「力むな!」の言葉。「コンパクトに振って芯で捉えられれば長打が出る」と冷静さも持ち合わせている。

 足が遅かったという小1の時、学校から家までの数百メートルを電信柱ごとに走って、歩いてを繰り返した。陸上の国体選手だった両親の助言を実践した。4、8回には50メートル5秒6を生かした内野安打2本。「これが僕の武器」。俊足の原点は幼少期にあった。日課の素振りもそうだ。母・清美さん(53)からバットを渡され、自室に閉じ込められた記憶もある。春日部東1年で右打ちから両打ちへ。スイング量は増え、音と感触で「納得できるまで」と振り続けている。

 上武大時代は動画サイトで、チームメートとなった岡田の中堅手としての1歩目の動きだしを吸収。かつて盗塁王となった福地(現ヤクルト2軍外野守備走塁コーチ)の最初から二塁方向へ体を傾ける技術も盗んだ。入団時は3秒5だった二塁盗塁は3・2秒台へ。「大学では授業中に映像を見たりもした。プロに入ってからは目で見て学べる」と楽しそうに言う。

 「翔平は大谷だけではない。加藤翔平という名前を覚えてもらいたい」。負けん気を見せる一方で、サヨナラの場面では「僕が一番に行くわけにいかない」と周囲を見る余裕もあった。交流戦前首位で終えたロッテに、また新たな風が吹いた。

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