球児 エンゼルスを“VIP”視察 5球団行脚終え決断は?

[ 2012年11月19日 06:00 ]

エンゼルスタジアムを訪問した藤川(左端)はディポトGMの出迎えを受ける

 エンゼルスは17日(日本時間18日)、阪神から海外フリーエージェント(FA)権を行使してメジャー移籍を目指している藤川球児投手(32)をVIP待遇で歓迎した。午前中にエンゼルスタジアムを施設見学に訪れた同投手に、メジャー通算1155勝のマイク・ソーシア監督(53)がアテンド役を務め、エ軍入りを猛アピールした。なお、藤川は同日午後にドジャースタジアムも視察し、4日間で移動距離約9000キロの5球団行脚を終えた。

 球場入り口のドアが開くと、藤川を真っ先に出迎えたのはジェリー・ディポトGMだった。「ウエルカム!」。歓迎のあいさつに右腕も笑顔を浮かべ、がっちりと握手を交わした。

 どうしても藤川を獲得したい。そんな熱意が行動に表れた。藤川との約束は午前10時だったが、土曜にもかかわらず総力を挙げて準備に取りかかっていた。予定時間よりも2時間早く同GMが球場入りすると、その約1時間後にはサプライズとしてソーシア監督も姿を現した。

 藤川の滞在時間は約1時間で、球場内にあるクラブハウス、ウエートトレーニング室、ブルペンなどを案内した。その中心にいたのが通算1155勝を誇り、編成権も持つソーシア監督だ。「(彼の投球は)ビデオで見ただけだけど、とても才能を感じさせる投手」。そもそも指揮官が選手の施設見学に付き添うこと自体が異例。しかも、02年ワールドシリーズを制し、2度のア・リーグ最優秀監督に輝いている名将が世話したのだから、まさにVIP待遇といえた。

 エ軍は救援陣強化が今オフの課題の一つ。抑えに今季23セーブのフリエリはいるが、制球難で絶対的とはいえない。ディポトGMはダイヤモンドバックスに所属していた06~11年に、年間25~30日を日本視察に費やしていた。藤川も早くからマークし、7日のGM会議では「彼をとてもよく知っている。実力は疑う余地がない」と絶賛。ソーシア監督は今後について「うちのGMと両代理人の話し合いになる。それでどうなるかだ」としながらも、「これから一緒にランチを食べに行くよ」とご機嫌だった。

 エ軍首脳との会食後、藤川はドジャースの本拠ドジャースタジアムを視察した。これで14日から4日間で5球団行脚も終了した。FA宣言した際には「メジャーへの思いはずっと抱き続けていた」と吐露した。通算220セーブ。日本屈指のスーパークローザーが、夢舞台に立つのはもうすぐだ。

 ≪エ軍と主な日本人選手の交渉≫

 ▽松井 秀喜 09年12月13日、代理人アーン・テレム氏の自宅でソーシア監督らとイタリアンの昼食をともにした。守備機会を求めてヤンキースをFAとなった松井に、指揮官は中軸としての期待を伝えるとともに「外野守備にもチャレンジしてほしい」と訴え、心をつかんだ。同16日に年俸600万ドル(約5億4000万円)で1年契約。

 ▽高橋 尚成 日本滞在中の10年11月30日朝、ソーシア監督から直接電話で口説かれた。高橋は「まさか日本時代から知っている名監督と話すことになるとは…」と感激。翌12月1日夜に渡米し、提示条件や家族の住環境も申し分なく、メディカルチェックを経て同2日夕方に2年総額800万ドル(約6億6400万円)で契約した。

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2012年11月19日のニュース