これぞ中畑イズム!3ボールから“打て!”

[ 2012年2月29日 06:00 ]

練習試合<D・神>4回、本塁打を打った後藤を出迎える中畑監督

練習試合 DeNA6-6阪神

(2月28日 宜野湾)
 DeNAは28日、3月30日の開幕戦(京セラドーム大阪)の相手である阪神と宜野湾で練習試合を行った。初回に後藤が3ボール0ストライクから2点二塁打。3ボールでも状況に応じて打たせる、中畑清監督(58)が目指す積極的な野球が見事にはまった。1点を追う7回2死無走者から同点に追いつく粘り強い戦いぶりでプレ開幕戦はドロー。チームは沖縄で大きな収穫を得て、試合後に横浜へと戻った。

 3ボールからのフルスイングだった。2点を先制した初回、なお2死一、三塁。押せ押せのチャンスに「待て」なんてヤボは言わない。後藤の中堅フェンス直撃の二塁打で2者が生還すると、中畑監督は両拳を突き上げて雄叫びを上げた。

 「積極的というより集中力。3ボールだと打ちにくいけどスイングに迷いがなかった。休みの日も打ち込んでいたし、努力は報われるね」

 そう評価する同監督は3ボールでも状況に応じてフルスイングすることを勧めている。理由は単純明快。ストライクを取りに、甘い球が来る可能性が高いからだ。ただ、そうは言っても打率3割で一流と評価される世界だけに凡打する可能性も大きい。だから「“打っていい”じゃなく“打て!”っていう考えだね。ファウルになってもいい。凡打になってもいいから、強く振る勇気が大事」という。

 25日の巨人とのオープン戦(那覇)でも同点に追いついた8回1死三塁で梶谷が3ボールから強振。ファウルだったが、攻める気持ちが四球につながり、続く石川の決勝打を呼んだ。この日の後藤も「待ちの姿勢より、どんどん振っていこうという姿勢に変わっている。1球をどう仕留めるか考えてやっている」と自己分析。昨季11月に西武からトレード移籍した内野手は、2打席目も初球を左越えソロと積極打法が目についた。

 指揮官が取り組む意識改革。初回2死二、三塁で遊撃への平凡なゴロを放った森本の全力疾走も、その一環だ。「稀哲(森本)をナデナデしたよ。あれがうちの野球。勝手に(アウトと)決めるな、諦めない気持ちが大事なんだ」。鳥谷の失策を誘い、続く後藤の二塁打を呼んでビッグイニングにつなげた。1点を追う7回は2死無走者から四球と連打で同点。「あれは価値がある。ただの1点ではない」と毎試合のように見せる終盤の粘り腰を高く評価した。

 巨人戦の逆転勝ちに続き、粘って阪神とドロー。「気分は悪くない。こういうゲームができて頑張ってきたかいがある。でも本番はこれからだよ。本番で見せられたらね」。中畑イズムが着実に浸透している手応えを感じていた。

 ≪昨年は安打わずか1本≫中畑監督は現役時代にカウント3―0からよく打った。通算では18打数10安打、打率・556と大暴れ。82年4月23日広島戦で1回山根から、86年7月26日中日戦では2回鈴木孝からそれぞれ勝利に貢献する3―0アーチを放っている。ちなみに昨年DeNA(横浜)で3―0からの安打は4月12日中日戦で9回吉村が放った二塁打1本だけだった。

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2012年2月29日のニュース