花巻東・大谷160キロ出す!先輩・菊池超えだ

[ 2012年1月28日 06:00 ]

岩手に、東北に大旗を!!センベツ出場を決め雄叫びを上げるエース大谷(中央)ら花巻東ナイン

 第84回選抜高校野球大会(3月21日開幕、甲子園)の出場32校を決める選考委員会が27日、大阪市の毎日新聞大阪本社のオーバルホールで開かれ、東日本大震災で被災した東北から過去最多タイの4校が選出された。花巻東(岩手)の151キロ右腕・大谷翔平投手(2年)は、甲子園史上最速160キロと東北初の全国制覇を誓った。21世紀枠では作詞家・阿久悠氏の母校である洲本(兵庫)、復興を目指す被災地から石巻工(宮城)、寒冷地の小規模校・女満別(北海道)の3校が選出。組み合わせ抽選会は3月15日に行われる。

 1メートル93の超高校級右腕は、スケールも超ド級だった。甲子園での球速へのこだわりを問われた大谷は「目標は160キロです。勝つ投球をしながらも、そこに向かって力でも押す投球をしたい」と堂々宣言した。

 甲子園初登板となった昨夏の甲子園1回戦の帝京(東東京)戦は、成長痛に伴う左股関節骨端線損傷のため、下半身をほとんど使えない状態ながら150キロを計測。2年生投手が甲子園で150キロを計測したのは、05年夏の駒大苫小牧・田中(現楽天)に並ぶ最速記録だった。それでも「150キロは出たけど、納得できるボールじゃなかった」と、この冬は肉体改造の一環として1日10杯の白飯を平らげ、体重は夏から10キロ増の86キロまで増加。佐々木洋監督(36)が「明らかに体つきが変わってきた」と驚くほど、土台は整った。

 このオフは、投手の練習メニューの一環として関節の可動域を広げるためのストレッチも重点的に行ってきた。その効果で両手を腰に当てて前方に肘を曲げると、補助があれば両肘がくっつくほど柔軟性がアップ。その柔軟性がムチのような腕のしなりを生み、150キロ超の速球を生み出す要因となっている。センバツではOBの菊池(西武)が3年夏に記録した155キロを5キロも上回る160キロの壁に挑戦する。

 昨年3月の東日本大震災では、女房役の佐々木ら身内を亡くした部員も出た。「復興センバツ」として実施される今大会は、自身の快投で被災した地元へ勇気の白星を届けるつもりだ。「自分たちの代は岩手出身者だけ。岩手のために力を発揮したいし、日本一という形で岩手の方々に届けられれば」。現在は故障も癒え、1月中旬から投球練習も再開。今大会No・1との呼び声高い長身右腕が、東北に初となる紫紺の大旗を持ち帰る。

 ◆大谷 翔平(おおたに・しょうへい)1994年(平6)7月5日、岩手県水沢市(現奥州市)生まれの17歳。小2で野球を始め、一関シニアでは全国大会に出場。OBの西武・菊池に憧れて入学した花巻東では1年春からベンチ入りし、1年秋から背番号1。2年夏の甲子園1回戦の帝京戦は、救援登板するも敗戦投手。父・徹さんは社会人野球の強豪・三菱重工横浜で外野手としてプレー。1メートル93、86キロ。右投げ左打ち。

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2012年1月28日のニュース