中畑新監督 私費で“キヨシ流バッテリー賞”新設

[ 2011年12月14日 06:00 ]

今季のパ・リーグ最優秀バッテリー賞を受賞した楽天・田中(左)、嶋(右)を祝福するDeNA中畑新監督

 DeNA・中畑清新監督(57)がハマのマー君を育て上げる。13日、都内ホテルで行われた「2011プロ野球最優秀バッテリー賞」(スポーツニッポン新聞社制定、協力・社団法人電池工業会)の表彰式に出席した新指揮官は、チームのバッテリー強化の必要性を明言。チームを挙げて楽天・田中将大投手(23)級の投手を育てていく考えを示した。また、1軍投手コーチとして、球団OBであるデニー友利氏(44)の就任が決まった。

【歴代テリー賞受賞者】

 中畑新監督は、壇上でカメラのフラッシュを浴びる楽天・田中―嶋、中日・吉見―谷繁のセ・パ最強バッテリー4人を物欲しげに見つめた。そしてマイクを持つと「今すぐにでもウチに来て。1人でもいいから、お願い」といきなり勧誘し始めた。苦笑いする4人に「まあウチと戦う時は先発から外れてね」と最後は懇願した。

 冗談ではない。明るく派手に振る舞う新指揮官だが、危機感は感じている。4年連続最下位に沈んだ今季、防御率は12球団ワーストの3・87。先発陣は三浦と高崎の5勝が最多。加えて細山田の盗塁阻止率・188はリーグ最下位とバッテリーは全く機能せず、シーズンを通して最優秀バッテリーに贈られる同賞にはノミネートもされなかった。受賞は日本一に輝いた98年・佐々木―谷繁以来無縁で「(横浜から)バッテリー賞は厳しいんじゃない?横浜はいつから獲ってないの?うらやましいというのはある」と恨めしげに話した。

 だからといって手をこまねいて見ている中畑監督ではない。田中級の投手がいないのなら、育てればいい。今季ブレークした育成上がりの20歳右腕・国吉をはじめ佐藤、阿斗里、真下(まっか)らチームには可能性を秘めた若手投手がいる。今ドラフト1位の北方も153キロの剛球が売り物で将来性は高い。

 「清水とか(三浦)大輔に軸になってもらって若いのを育ててね。個人的に(チームで)監督としてのバッテリー賞を与えるしかないね」と指揮官。いきなり本家バッテリー賞が無理でも、私費を投じてキヨシ流バッテリー賞「K―1グランプリ」を新設して表彰。ベテラン投手の力も借りてチーム全体で、バッテリーの底上げを図ろうという考えだ。

 もちろんアメだけではない。来春の沖縄・宜野湾キャンプでは「夜間練習はやると思うよ。不安を小さくするには練習量しかないよ」として、尾花政権下では、疲労が重なることを考慮して禁じられた夜間練習の解禁も宣言。練習漬けで選手を徹底的に鍛え上げる意向を示した。

 「ずばぬけた活躍しなくても(バッテリー賞の)候補になるだけでもいいんだけどね」

 素質に加えて、血がにじむような練習。そこに中畑新監督ならではのアイデアを加えてハマのマー君づくりへの第一歩を踏み出す。

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2011年12月14日のニュース