落合野球の核“アライバ”で決勝点「やっと選手が…」

[ 2011年9月24日 06:00 ]

<中・ヤ>逆転Vで花道飾る!!ベンチを歩く落合監督

セ・リーグ 中日6-2ヤクルト

(9月23日 ナゴヤD)
 落合博満監督(57)の今季限りでの退任が発表されて一夜明けた23日、中日は首位・ヤクルトを6―2で破り、最大10ゲーム差から2・5差に迫った。同戦の試合前には、落合監督は来季監督に就任する高木守道氏(70)と対面。日本一になって花道を飾るように激励された。そのシーズン限りでの退任が発表されてから、リーグ優勝を果たしたのは07年日本ハムのトレイ・ヒルマン監督(48=現ドジャース・ベンチコーチ)ただ一人。異例の栄光に向けて、落合竜がひた走る。

 成熟した集団なのだろう。落合監督の衝撃の退任発表から一夜。指揮官も、ナインの戦いぶりも何ひとつ変わらなかった。試合後の会見。落合監督は「やっと選手が動き始めた」とひと言。ヤクルトを連破し、4連勝。首位に2・5ゲーム差と肉薄し、逆転Vを完全に射程に捉えた。

 決勝点は落合野球の代名詞、「アライバ」コンビが叩き出した。同点に追いつかれた直後の8回。左翼線二塁打で出塁した荒木は「井端さんは必ずやってくれると思っていたから。1、2番を組んだときから、そういう気持ちで二塁にいた」と、スタートに神経を集中させた。その井端は「外野の正面じゃなければ、コーチが腕を回してくれれば荒木は還ってくれると思っていた」と外角低めの変化球を中堅右へしぶとく運んだ。勢いよく三塁ベースを蹴った荒木は「捕手が本塁より前に出ていたので、足より手でと」と頭から滑り込み、青木の返球を受けた相川のタッチをかいくぐって勝ち越し点を奪った。

 この日、来季の中日を指揮することが決まった高木守道氏が、テレビ中継の解説の仕事でナゴヤドームを訪れた。シーズン中ながら、新旧の監督が場所を同じにした。試合前には、落合監督は高木氏から「こういう形になったけど、日本一になって最後までいい形にしてほしい」と激励を受けた。その心中はどうだったのだろう。

 前日の朝、白井文吾オーナーから新たに契約更新しない旨を通告された。同オーナーは今季限りでの退任を落合監督の口からナインに説明した方がいいと判断したが、指揮官は「結構です。シーズン中だし、選手には必死に戦うことに集中してほしい。だから話す必要はありません」と固辞。コーチ陣だけには伝えた。そしていったん、名古屋市の自宅マンションに帰宅した。ただ、その時ばかりは少し落ち込んだ様子を見せたという。それでも、一夜明ければ、待ち受ける報道陣に「おはよう」と吹っ切れたような表情で声をかけた。

 「勝つことが最大のファンサービス」と公言してきた落合監督にとって、退任が発表されても勝利への執着心が消えることはない。勝利至上主義が退任の要因ともなったが、異例の状況下で逆転優勝を目指していくことが、皮肉にも興行であり、エンターテインメントも求められるプロ野球界を盛り上げる。「オレ流」で数々の栄光を築いてきた指揮官ならば、そんな花道もまた似合う。

 ≪10ゲーム差からVなら球団初≫中日が4連勝。首位ヤクルトに8月31日以来の2・5ゲーム差まで迫った。8月3日にはヤクルトとは10ゲーム差の4位。セで2桁ゲーム差からの逆転優勝は巨人が96年に11・5ゲーム差、08年に13ゲーム差と記録したのがあるだけ。中日では88、10年の8ゲーム差が最大となっており、もしひっくり返せば球団史上初めてになる。この日は初回に谷繁の2点適時二塁打で先制。今季の中日は先取点を奪った試合に43勝14敗6分け(勝率・754)。ヤクルトの38勝13敗2分け(・745)を上回りセでは最も勝率が高い。特に球宴後は20勝2敗4分け(・909)と、ほとんど取りこぼさない。

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2011年9月24日のニュース