松坂 右肘治療で緊急帰国!米で手術も視野

[ 2011年5月25日 06:00 ]

緊急帰国したレッドソックス・松坂大輔

 右肘の靱帯(じんたい)損傷で故障者リスト(DL)入りしているレッドソックスの松坂大輔投手(30)が24日、治療目的のために緊急帰国した。数日間滞在した後、今月末に再渡米。ロサンゼルスで肩や肘の世界的権威であるルイス・ヨーカム医師の精密検査を受けることが決まった。靱帯の再建手術(トミー・ジョン手術)も選択肢に入れており、踏み切った場合は今季中の復帰は絶望的。来季の開幕も微妙となるだけに、難しい決断を迫られている。

 松坂は足早に空港を後にした。レ軍は「個人的な理由」として明確な帰国理由を明かさなかったが、球団の許可を得てまで緊急帰国したのは、治療が目的。日本の医師の判断を仰ぐかとの問いに、松坂は「それはありません」と言い切った。

 米国時間18日(日本時間19日)に「右肘の内側側副靱帯と屈筋群の異常」と診断を受けた。いわゆる靱帯損傷の重症に松坂は「最短の道で復帰できるように最善を尽くすだけ」と話してきた。あらゆる手段を使い、早期復帰を目指すのが先決だと現時点では考えている。球団のチームドクターによる診断も「休養を十分に与えた上で、2週間後に再検査」だった。

 だが、前半戦復帰が絶望となった今、別の選択肢も頭には入っている。テリー・フランコナ監督はこの日のインディアンス戦後、「セカンドオピニオン(別の医師による診察)」として松坂が再渡米後に肘手術の世界的権威であるヨーカム医師による精密検査を受けることを明かした。指揮官は「手術は受けない」としたが、過去、何度も腱移植手術を成功させてきた同医師が手術を勧める可能性は十分にある。

 完全な靱帯断裂ではないため、関係者は「治療と筋力強化で1カ月ほどで回復する場合もある」と話す。だが、仮に回復して復帰しても、再発の不安を常に抱えたままのマウンドとなる。松坂も「2回目がないように対処を考えていく必要がある」と話している。一方、腱移植手術に踏み切った場合は、復帰には8~12カ月を要する。来季開幕に間に合うかも微妙で、難しい選択を迫られているのが現状だ。

 大リーグでは、選手会の要望もあり、複数の医師の判断を仰げる権利が選手に与えられている。西武時代の02年に右肘痛を訴えたことがあるが、これほどの重症は初めて。9月に31歳となる松坂には「長く野球をやりたい」との目標もある。数日間の滞在で判断材料を多く集め、ヨーカム医師の意見も聞いた上で、決断を下すことになる。

 ▽ルイス・ヨーカム医師 トミー・ジョン手術の創始者と言われるフランク・ジョーブ医師の指導を仰ぐ。肩、肘において全米一、二の執刀医とされる。現在はエンゼルスのチームドクターも務める。02~03年には1年間で100件以上の腱移植手術をこなした。黒田(ドジャース)福留(カブス)ら日本選手の執刀も多数行う。一昨年のドラフト全体1番目指名のストラスバーグ(ナショナルズ)も同医師のトミー・ジョン手術を受けた。

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2011年5月25日のニュース