野球中継が変わる!?「球審カメラ」25日デビューへ

[ 2011年5月25日 06:00 ]

 58年の歴史を誇るプロ野球のテレビ中継に革新的な映像が導入される。日本テレビが独自に開発した「球審カメラ」が、25日の巨人―ソフトバンク戦(東京ドーム)にもデビューする。球審のヘルメットに固定した超小型カメラが、マウンドプレートからホームベースまで18・44メートルの攻防を伝える。その迫力は画面からはみ出さんばかり。プロ野球中継が変わる。

 沢村の直球はどれだけ速いのか。ダルビッシュのツーシームはどんな球筋か。藤川のフォークは…。その球を打者のバットはどう捉えるのか。その瞬間を球審の目線で伝えることが新カメラの導入で、可能になった。

 「われわれは一瞬のドラマをどう表現するかをテーマに中継したいと考えています。究極の映像を視聴者にご覧いただきたい」。企画からプロジェクトに携わった日本テレビのスポーツ局チーフ・クリエーター、「プロ野球中継」プロデューサーを務める岩崎泰治氏(42)はこう説明する。

 16日の実行委員会で確認された通り、当該球審が「判定に支障がない」と了承すれば25日の巨人―ソフトバンク戦から導入が可能になる。球審の負担を考慮し、カメラ装着も6、7回の2イニングに限定。映像使用は地上波放送のリプレーのみ。まだ制限は多いが、可能性は無限に広がる。

 昨年12月、日本テレビが「球審カメラ」導入に動きだし、審判部を中心に日本野球機構(NPB)と意見交換を重ねた。2月のキャンプでは巨人選手の協力を仰ぎ、実際に審判員がブルペンで使用。その過程で欠点を洗い出し、3月のオープン戦では実戦テストに成功した。

 東日本大震災の影響で遅れたが、4月のイースタン・リーグではCS放送の中継に使用。「驚いた」「プロの投手の球はあんなに速いのか」…。視聴者の反響は大きかった。

 史上初のプロ野球テレビ中継は、NHKによる1953年8月23日の阪急ブレーブス―毎日オリオンズ戦(阪急西宮球場)。その25年後の78年、日本テレビがバックネット裏から球審の背中越しにセンター方向を映す中継を、現在のバックスクリーン横からの映像(センターカメラ)に切り替え、定着させた。当初は捕手を正面から映すため「サインが読まれる」と苦情もあったというが、配球やコースが分かりやすい映像は、野球中継に深みをもたらした。

 新しい時代の中継スタイル確立へ、再びテレビが動いた。「球審カメラ」が、強烈なインパクトを与えることは間違いない。

 ≪カメラはヘルメット部分に固定≫カメラは球審のヘルメット部分に固定される。映像は腰に装着した送信機で、中継基地に送られる。開発当初は問題点が多かった。まず球審用のヘルメットは審判員によって形状、材質ともにバラバラ。そして姿勢も違えば、映る角度も変わる。固定するにも個別の対応が必要だった。さらにカメラと送信機の小型軽量化は必須だった。そして日本テレビスタッフを驚かせたのが球審の運動量。その激しい動きで送信機のひもは何度も切れてしまったという。「球審カメラ」では、審判員もまたプロのアスリートであり、試合の「出演者」であることも確認できるという。岩崎氏は「野球の審判は正しいジャッジをして当たり前と簡単に思われている。このカメラの導入が審判の権威向上につながればいいですね。それだけ高い価値のある仕事ですから」と話した。

 ≪人気回復の一助期待≫NPB審判部の井野修部長は球審カメラの導入について「ジャッジに影響ないことが第一。その上で協力できる範囲で協力したい」と説明。視聴率の低下で地上波のテレビ中継が激減する中、審判員からは「プロ野球人気回復に少しでも役に立てるなら」と協力的な声が多かったという。井野部長自身も「これで興味を持って野球中継を見てくれたらありがたい。人気回復の一助になればと思ってます」と話した。

 ≪阿部はすんなり受け入れ≫球審がカメラを装着することについて巨人の阿部は「キャッチャーはあまり関係ないですね。全く問題ないです」とすんなり受け入れた。バックネット裏と違い、投手陣にとってはマウンド上でカメラと向き合うことになる。25日に先発が予想される金刃は「そうなんですか。自分はあまり気にならないと思います」と話していた。

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