今季チーム日本人1号 大田“生き残り弾”

[ 2011年2月23日 06:00 ]

<巨・オ>9回1死二塁、左中間に2点本塁打を放つ大田

練習試合 巨人3―3オリックス

(2月22日 那覇)
 希望をつなぐ放物線は、左中間席の芝生で弾んだ。3年目の巨人・大田が、オリックスとの練習試合(那覇)の9回に同点2ラン。今季チームの日本人1号。三塁手争いで猛アピールだ。

 「途中から出て1打席しかないと分かっていた。真っすぐだけを待っていた。高めの直球をしっかり押し込めました。(打てば)同点の場面で打てたのは自信になる」

 高めに浮いた直球を見逃さなかった。練習試合とはいえチームの沖縄初黒星を消す同点弾は、自らの立場も救った。今キャンプの実戦はこの打席まで11打数1安打。小笠原の一塁転向で争う三塁の座は亀井、ライアルにリードを許していたが、ともに調子が上がらない2人に食らいつく意地の一発でもあった。

 今キャンプ中の8日、東海大系列校野球部総監督で原監督の父でもある原貢氏が宮崎キャンプを訪れて「良くなっているからこのまま頑張れ」と声を掛けられた。「ずっと見てくれている方に言われたのは自信になる」。元来がのんびり屋の性格だが、この時期を機に動きが変わった。練習でも切れのある動きが目につくようになった。技術的には、左半身が伸び上がりアッパースイング気味になるスイングを矯正。練習では確実性が増してきた中、実戦で飛び出した一発に原監督も「大選手になった人は必ずきっかけがある。きょうの1本がそのきっかけになればいい」と高校の後輩でもある大田の成長を評した。

 守備では判断ミスで走者を生かしてしまうなどまだ発展途上だが「チャンスは少ない。1打席1打席を大事にしていきたい。三振かホームランかという勢いで振っていきたい」。ぐっと顎を引き、前を見据えた大田の視線に鋭さが宿ってきた。

 ◇大田過去のキャンプ◇

 ☆1年目(09年) 2月のキャンプは若手主体のB班スタート。1年先輩の中井とともに原監督から直接指導も受け、フリー打撃では長打力を披露。開幕2軍も6月17日に1軍初昇格し、同20日のロッテ戦(東京ドーム)は9回に代打でプロ初打席も3球三振。1軍出場は3試合で1打席も2軍は101試合で17本塁打、56打点。

 ☆2年目(10年) 2月のキャンプは主力組のA班に抜てきされたが紅白戦などで三塁守備の不安を露呈し、中旬に2軍落ちで開幕も2軍。6月12、13日に2試合連続で先発出場も、ともに3打数無安打で失策も記録。原監督から「誰がああいう打撃を教えたのかと思うほど間違った方向」と酷評された。

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