イチロー 10年目は「脱力」の新境地

[ 2010年2月25日 06:00 ]

外野陣のノック中、グリフィーと相撲をするイチロー

 マリナーズのイチロー外野手(36)がキャンプイン。「脱力」の新境地でメジャー10年目のシーズンに臨む。

 メジャー10年目。キャンプ初日のイチローに張り詰めた空気はなかった。フリー打撃は30スイングで5本の柵越え。持久走は暴言を吐きながらちょっかいを出してきたグリフィーを追いかけてナインの笑いを誘った。

 「目標を達成した昨シーズンを経て新しい僕のスタート。ようやく礎みたいなものができたという感覚を持った。初めて力を抜けるんじゃないかなって期待を持っています。これまで力を入れっぱなしでしたから」

 これまでは大リーグ新記録の連続200安打という重圧、周囲の期待をはねのける力が必要だった。特に昨季はWBCもあり、胃潰瘍(かいよう)や左ふくらはぎ痛の故障とも戦った。それを乗り越えて9年連続200安打の大リーグ新記録を打ち立てるなど225安打。今季で通算10度目の200安打ならピート・ローズと並ぶ大リーグ記録となるが「“10年連続で200本達成したいです”と言うのがつまらないと思う。去年のことを考えればできないはずがない」と言い切った。

 記録と向き合う日常は変わらないが、そこに無駄な力はもう入らない。「結果として、数字とは別のところで見ている人の気持ちが動いてくれたり、そういう瞬間が多くなればいい」。心の余裕を手にしたイチローがどんなパフォーマンスを見せるのか。脱力の10年目。3月1日(日本時間2日)の紅白戦から実戦が始まる。

 ◆イチローに聞く
 ――力を抜くことで、自分らしさ、自分の野球ができるか。
 「つながるでしょうね。それ(力を抜くこと)ができれば。この時期は力を入れる、張り切っていくことは簡単。ちょっと力を抜いてやることの方が凄く難しいことだったりする」
 ――グリフィーと再会して第一声は。
 「オフにお酒を送ったので“あれを持ってくるから一緒に飲もうぜ”と言っていた。でも、タルのお酒は日持ちがしないし、無理ですね」
 ――チームの雰囲気については。新しい選手も加わった。
 「空気(雰囲気)はいいですよ。毎年この時期にチームが生まれ変わるわけですから、同じではないと思いますよ。ただ昨年1年戦ってみてGMと監督の選手を見る目、というところには安心感がある。それは大きいんじゃないですか」

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2010年2月25日のニュース