千葉英和の左腕 プロスカウト3球団も魅力感じた 

[ 2009年7月12日 06:00 ]

<佐原白楊・千葉英和>5回1死までを”完全”に抑えコールド勝ちに貢献した千葉英和の左腕エース・小川

 第91回全国高校野球選手権大会(8月8日開幕、甲子園)の地方大会は11日、東西東京、大阪など新たに27大会が開幕。合計31大会で183試合が行われた。千葉大会では千葉英和がドラフト候補左腕・小川竜也投手(3年)の投打にわたる活躍で佐原白楊に10―0の5回コールド勝ち。12日は神奈川などが開幕し39大会で423試合が行われる予定。

【千葉大会組み合わせ


 【千葉英和10-0佐原白楊】独演ショーを繰り広げる小川に魅了されていた観客も思わずずっこけた。5回1死まで完全投球の左腕に降板指令。「えっ?と思いました。完全を狙いたいという気持ちも…。でもフォームもバラバラだったし」。謙虚なエースは想定外の出来事にも笑顔を見せた。
 衝撃的な夏デビューだ。54球中、約9割が直球の強気勝負。小学6年までバドミントンサークルにも所属し、身に付けた柔らかい腕のしなりから来る最速140キロの直球とスライダーで5三振を奪い、打者13人を牛耳った。「他の投手も経験させたかった」との伊藤監督の意向で参考記録の快挙は逃したが、小川の魅力は投球だけではない。
 3番打者として2回には低めの球をすくい上げ、右中間へ高校通算12号の2ランを叩き込んだ。三塁打が出ればサイクルだった5回の第4打席は右前打だったが、4打数4安打5打点。フィリピン出身の母・ジュピタさん(42)が見守る中、投打で大活躍した。
 昨夏は首筋を痛めた影響で東千葉大会は一塁手で出場。投手としての経験は浅い。しかし、今春の千葉大会初戦でドラフト上位候補の東海大望洋・真下(まっか)と投げ合い1―2で敗れたが、潜在能力の高さを見せつけた。この試合もスタンドにはプロ3球団のスカウトも駆けつけ、ソフトバンクの笹川スカウトは抜群の身体能力に「投打に魅力がある。下半身がよくなればもっと伸びる」と賛辞を贈った。
 大会前には、阪神ファンの伊藤監督の希望で、濃いアイボリーのユニホームを蛍光イエローに新調した。「このユニホームで甲子園に出場し、全国に印象づけたい」と小川は言った。千葉英和を引っ張る“二刀流”の怪物が激戦の千葉を勝ち抜き、初の栄冠を狙う。

 小川 竜也(おがわ・りゅうや)1991年(平3)9月3日、千葉市生まれの17歳。こてはし台小では「こてはし台ヤングライオンズ」に所属。こてはし台中では2年から「千葉北シニア」に入り、投手として活躍。千葉英和1年時は外野手、2年は一塁手。今春から背番号1を背負い、最速143キロ。家族は両親と姉、弟。1メートル82、70キロ。左投げ左打ち。

 ▼オリックス堀井スカウトグループ担当部長 腕の振りが素晴らしい。下半身の力がついたらプロに行っても将来的に凄く伸びてくる。
 ▼横浜酒井スカウト 腕のしなりがあるよね。真下はドーンという感じ。小川はビュッという感じ。もう少し横に体が大きくなれば威力が増す。

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2009年7月12日のニュース