松坂 遅スライダーでピシャリ

[ 2008年4月3日 06:00 ]

<アスレチックス・レッドソックス>7回途中まで1失点に抑えた松坂

 【レッドソックス2―1アスレチックス】レッドソックスの松坂大輔投手(27)が、1日(日本時間2日)のアスレチックス戦で今季初白星を挙げた。通常より球速を5キロ程度落としたスライダーを駆使し、緩急の差を実現しての6回2/3を2安打無四球、1失点。先月に誕生した長男へのプレゼントとしてウイニングボールを手にするとともに、引退を表明した前パイレーツの桑田真澄投手(40)の誕生日にささげる1勝となった。

 クラブハウスへ引き揚げるナインとは逆に、松坂はグラウンドへ飛び出した。先月25日の日本開幕戦(東京ドーム)で岡島の“凱旋勝利”のボールをスタンドへ投げ入れた守護神パペルボンが、またやってしまったからだ。すぐさまファンに駆け寄り、ボールの交換を求めた。08年1勝、そして生まれたばかりの長男への大事なプレゼント。逃すわけにはいかなかった。
 「ボールをくれとお願いしていたのですが、ファンに投げ込むのを目撃してちょっと焦りました。勝って(ボストンに)帰れるので良かった」
 日本で開幕したことによる変則日程で、レ軍では34年ぶりとなる開幕3試合で2度目の先発。しかも、同じ相手という難しい状況だったが、2回にカストに外角高めの直球を左翼席に運ばれた以外、二塁も踏ませない。さえたのが球速を殺したスライダーだ。昨年まで135キロ前後だったが、この試合は130キロ以下が20球。カーブと見間違えるほど大きな変化でカウントを稼いだ。
 昨年、多彩な変化球を持つゆえに大きな緩急差がないことを痛感した。「メジャーの打者は多少の球速の変化にはすぐ慣れて対応してしまう」。この日は“中間”を消すことで最速94マイル(約151キロ)と20キロ以上の差を実現。直球、カットボールを決め球に9三振を奪った。「緩急をうまくつけられた」。昨季から進化した姿がある。
 日本開幕戦で軸足の右足がつりそうになったことで、下半身に無駄な力が入らない体重移動のコツをつかんだ。この結果、球威、切れが増した。「ケガの功名といいますか、いい足の使い方ができた」。試合後はパソコンでフォームをチェック。イメージを頭に植え付けた。次回8日の本拠地開幕ではリーグ最強と言われるタイガース打線が相手。この感覚を持続しなければ意味がない。
 松坂はこの日、もうひとつ背負っていたものがあった。「桑田さんの誕生日だったので勝てて良かった」。26日に米国へ戻ると、真っ先に電話するほど慕ってきた先輩。背番号18は今度はマウンドから“お疲れさま”のメッセージを伝えた。

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2008年4月3日のニュース