岩村削られた ヤ軍と同地区遺恨ぼっ発

[ 2008年3月14日 06:00 ]

ヤンキース戦の2回、二塁に足を上げて滑り込むダンカン(右)のスパイクを右太ももに受けるレイズの岩村。この後乱闘になる

 レイズの岩村明憲内野手(29)が狙われた。12日(日本時間13日)、米フロリダ州のセントピーターズバーグで行われたヤンキース戦で2回にシェリー・ダンカン内野手(28)の“殺人スライディング”を受け、両ベンチ総出の大乱闘に発展。オープン戦では異例の両軍合わせて5人が退場処分になった。この日は試合前から警告が発せられるなど危険な空気が充満しており、ア・リーグ東の同地区対決は新たな遺恨がぼっ発した。

 誰もが目を疑った。2回、ヤ軍先頭・ダンカンの当たりは三塁手をはじく。すると一塁を蹴って二塁へ。ボールは二塁手・岩村に転送され、明らかにアウトのタイミング。だが、ダンカンはベース手前で左足を高く上げ、スパイクの歯で岩村の右太腿を激しく削った。
 もはや野球とは言えないラフプレー。岩村がにらみつけると、右翼から走ってきたゴームズがダンカンに強烈なタックルを見舞った。この一撃でゴングが鳴り、大乱闘に発展。ダンカン、ゴームズとヤ軍のミーチャム、ロング両コーチの計4人が退場処分を受けた。
 右太腿にスパイクの跡をくっきり残した岩村は「こんなスライディングしかできないのかとあきれた。あんなふうに選手をつぶしにきて、何が面白いのか」と怒り心頭。ゴームズも「アイツはアキを負傷させようとしてきた。仲間を守るのは当然だ」とまくし立てた。
 伏線は前回8日の対戦にあった。本塁上の接触でレ軍ジョンソンのタックルを受けたヤ軍の若手捕手セルベリが骨折。両監督が互いを激しくののしりあい、不穏な空気を察知した球審は試合前に警告を発した。このため初回にヤ軍先発のフィリップスがロンゴリアの肩に死球をぶつけると一発退場。一触即発ムードが極限まで高まる中で背番号1が犠牲になった。
 「こんなくだらないことでお客さんを退屈させるわけにいかない」。ラフプレーに燃えた岩村は乱闘直後の第2打席で右中間を破る二塁打。初回の遊撃内野安打、4回の四球と全3打席で出塁した。昨年9月の「バットクレーム事件」に続き、信条の“何苦楚(なにくそ)魂”を再び名門ヤ軍に見せつけた。それでも同地区同士の遺恨に「野球じゃなくなってくる」とぶ然。オープン戦も2試合残し「目先の試合も危ない」と警戒した。
 マドン監督は「ダンカンは出場停止処分を受けるべき」と主張。大リーグ機構は近日中にビデオで検証した上で判断するという。岩村が狙われ生じた新たな火種は、収まるどころかさらに燃え広がりそうな気配だ。

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2008年3月14日のニュース