金メダルの永瀬貴規 粘りの柔道が開花 内田篤人氏に共感した「信念を貫き通すこと」の思い

[ 2021年7月27日 19:54 ]

東京五輪第5日 柔道男子81キロ級 ( 2021年7月27日    日本武道館 )

決勝戦でモルラエイを破り、金メダルに輝いた男子81キロ級の永瀬貴規(左から2人目) (AP)
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 柔道男子81キロ級の永瀬貴規(27=旭化成)が、決勝で初対戦のモルラエイ(モンゴル)を破り、自身初の金メダルを獲得した。日本勢の同階級では00年シドニー五輪の滝本誠以来となる頂点。また、日本男子としては、初日の60キロ級・高藤直寿(28=パーク24)に始まり、66キロ級・阿部一二三(23=パーク24)、73キロ級・大野将平(29=旭化成)に続く、4日連続の金メダル獲得となった。

 耐えた、粘った。2、3回戦と快勝で進んだ永瀬だったが、レッセル(ドイツ)との準々決勝は延長戦へもつれ込み、6分46秒の小外掛で決着。さらにカス(ベルギー)との準決勝も延長戦に突入し、6分48秒に背負い投げで決着するまで熱闘。体力を消耗したが、決勝でまたも延長戦に入った。それでも耐え抜き、1分43秒に足車で技ありを奪い、決着。とにかく踏ん張って金メダルを“手放さなかった”。

 コロナ禍で練習やトレーニングが満足にできない時期に「あまり読んでこなかった。考え方、発想を増やす一つの手段」として取り組んだのが読書だった。さまざまなアスリートや指導者の著書を読んだが、最も心を打ったのが先日引退したサッカー元日本代表の内田篤人氏の著書「僕は自分が見たことしか信じない」だったという。17年の世界選手権で右膝の大ケガを負った自身と同氏を重ねる部分もあり、「共感する部分があった。折れてはいけない部分では信念を貫き通すことが書いてあった。見習わないといけないと思った」と有意義な時間にした。

 昨年7月からは段階的に練習強度を上げ、拠点にしている母校の筑波大で通常通りに稽古ができた。久しぶりに柔道着を着ると「自然と笑みが出た。改めて柔道が好きだなと思った」というほどの練習の虫。1年延期となった五輪本番に向け、新たな技の習得にも取り組み「五輪優勝は昔からの夢であり、今の目標でもある。日本代表としての使命でもあるので、金メダルを必ず獲りたい」と誓いを口にしていた。

 この日の粘り腰と無関係ではない。永瀬の「信念」が金へと動かした。

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