上野由岐子「投げられなくなるまで、絶対に投げてやる」 宇津木麗華監督胴上げのため“男気”みせた

[ 2021年7月27日 22:49 ]

東京五輪第5日 ソフトボール決勝戦   日本2-0米国 ( 2021年7月27日    横浜スタジアム )

<東京五輪・ソフトボール 日本・米国>金メダルを獲得しガッツポーズの上野(撮影・小海途 良幹)
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 日本が再び頂点に立った。2008年の北京五輪決勝の再現となった決勝の米国戦が横浜スタジアムで行われ、2─0で勝利して金メダルを獲得した。上野由岐子投手(39)が先発して6回途中まで無失点に抑え、再び7回にリエントリーでマウンドに上がると、米国打線を無失点に封じた。マウンドの中央で日本ソフトボール界のレジェンドが再び伝説を作った。

 上野は優勝決定後、「本当に感無量です」とさわやかな表情で笑った。

 先発で米国打線を無失点に抑えていたが、6回途中でマウンドを後藤に譲った。だが、リエントリー制度を使い、7回からは再びマウンドへ。上野は「途中、リリーフで投げてくれた後藤が顔面蒼白でいっぱいいっぱいで投げてくれたのを見て、逆に自分がやってやるんだ、という気持ちで。逆に奮い立たせてもらったし、そのおかげで気持ち強く投げることができて、最終的に皆さんの期待に応えられて、本当によかった」と明かした。

 ファンなら、絶対に13年前の記憶がある。金メダルの重圧に関しては、「これが自分が背負っているものだと思っていたし、このマウンドに立つために13年間、いろんな思いをして、ここまで来たと思うので、投げられなくなるまで、絶対に投げてやるという思いだった」と、胸の内を明かした。

 すべては恩返しの気持ち。宇津木麗華監督のためだった。「前回の金と違って、地元開催でプレッシャーも大きかったですし、近くでずっと麗華監督の姿を見ていて、日に日にプレッシャーで押しつぶされるじゃないか、というぐらいの姿を見ていたので、少しでも力になりたいと思っていたし、最後こうやって恩返しできて、本当によかったな、と。力になれてよかった」。指揮官が感じた重圧を、自分も背負う。“男気”のような感覚だった。優勝が決まった直後、2人は抱き合って、涙を流した。

 ソフトボールは、次回パリ五輪からは、再び五輪競技から外れる。しかし、上野は言った。「13年という年月を経て、最後、あきらめなければ、夢はかなうということをたくさんの方々に伝えることができた。ソフトボール競技は次回からなくなってしまうけれど、またあきらめることなく、しっかり前に進んでいけたらいいな、と思います」。不撓不屈。上野由岐子の代名詞でもある。

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