黒川宏次朗が初のアマ横綱 兄は2位2回「代わりじゃないけど、獲れて良かった」

[ 2018年12月2日 20:10 ]

兄・宗一郎(右)とともに喜びを分かち合う黒川宏次朗
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 アマチュア相撲の第67回全日本選手権が2日、東京・両国国技館で行われ、黒川宏次朗(23=拓大職)が決勝で重松龍大(21=東洋大3年)を寄り切りで破り、初のアマ横綱となった。昨年の西郷智博(和歌山県庁)に続き、社会人が2年連続で制した。

 黒川家にとって、悲願の優勝となった。アマ相撲の最高峰のこの大会で、兄・宗一郎(アイシン軽金属)は14、15年が2位、16年が3位と、あと一歩のところでタイトルを逃してきた。宏次朗も拓大2年だった15年に準決勝で兄に敗れて3位。「兄はなかなか届かなくて悔しい思いをしていたと思う。(兄の)代わりじゃないけど、獲れて良かった」と感慨に浸った。

 決勝の土俵に上がる前に、兄に掛けられた言葉も力になった。相手の重松は兄が初戦の2回戦で敗れていた。「押す力が強い」とアドバイスをもらった上で「いつも通り、しっかりやればいける。気負わずに」と背中を押された。相手の突き、押しをしっかりと受け止め、右を差して体を密着させ、万全の体勢から勝負を決めた。

 拓大2年で学生横綱になった逸材だが、卒業後はプロには進まなかった。社会人1年目の現在は拓大の後輩に指導しながら、稽古を続けている。「教える立場になって稽古時間が短くなったが、一歩下がって相撲を見られるようになったのが良かった。学生に注意していることは、自分にも当てはまる。基礎の大切さが分かった」。下半身に重点を置いて強化したことで地力が増し、ビッグタイトルにつながった。

 今年は全日本実業団選手権も制しており、アマ横綱のタイトルと合わせて、大相撲の幕下10枚目格付け出しの資格を得た。それでも大学卒業時に決めた思いは変わることがない。「学生たちが少しでも強くなってほしい。試合で当たれるぐらい、僕も精進できたら」。競技者としての生きがいだけでなく、指導者としての喜びも見いだしていた。

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