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米バスケ界の新星は13歳 スター候補生を取り巻く日米の環境の違い

米バスケ界のホープ、エモニ・ベイツ(AP)
Photo By AP

 【高柳昌弥のスポーツ・イン・USA】男子バスケットボールの日本代表候補に中学3年の田中力が選出された。15歳とは言え、本人も周囲も2020年の東京五輪を視野に入れているようだ。さて大人の先輩たちを相手にどこまで通用するのだろうか…。これからの活躍と奮闘が楽しみだ。

 スポーツ界でいつも話題になるのは次世代を担う若手の存在。そこには本人だけでなく、多くの人にとっても夢と希望がある。だから記事になりニュースとなる。ただし、日本と米国では同じ話題を取り上げると、少し違った側面も見えてくる。

 AP通信がミシガン州在住のエモニ・ベイツという少年の特集記事を配信してきた。誕生日は2004年1月28日で13歳。田中より1学年下で、日本なら中学2年生だ。彼もまたバスケットボールの選手で、身長はすでに2メートル1。それでいて小柄な選手のようにドリブルからパス、さらにジャンプシュートまできっちりこなせるから注目を集めている。

 プレーの動画がユーチューブに投稿されると、閲覧回数は瞬く間に100万回を突破。身長は確実にもっと伸びていくので、昨季のNBAファイナルでMVPとなったケビン・デュラント(29歳)と比べ「NEXT・DURANT」と呼ぶメディアも登場した。

 さて、普段の生活ではおとなしいベイツ少年はとても勉強ができる。数学、歴史、スペイン語では優秀な成績を収めた。たぶんバスケットボールがなくても人生設計ができる生徒だろう。しかし、その温厚で学業優秀な13歳はいったんコートに出ていくと人が変わる。マッチアップしていた相手チームの選手の胸ぐらをつかんで乱闘寸前になる場面もあった。

 そこにはちゃんと理由がある。「もし僕をバカにしたら、そのまま黙って引き下がるようなことはしない」。AP通信によれば、乱闘となった試合では相手選手が開始早々から汚い言葉でののしっていたとのこと。体が細いので、そのあたりが突っ込みどころになったのかもしれない。つまり、米国のプロ・スポーツ界では日常茶飯事の“トラッシュ・トーク”である。そしてベイツ少年は我慢できなかった。

 「Trash」にはゴミ、がらくたという名詞と、他人を激しく非難する、中傷するという動詞としての意味がある。日本の指導者なら、あるいは先生なら、まずこの“口”の方から教育すると思うが、米国ではどうせプロスポーツ界に存在するのだから、それに耐えうる“心”の方を重視する…ように見える。

 将来を見据えてウエート・トレーニングを始めた13歳は精神面では大きな課題を抱えている。トラッシュ・トークに力で抵抗しようとすると、コートの外に去ることも覚悟しなくてはならない。年齢を考えれば怒ってしまうのは当たり前のことなのだが、米国では「見えない圧力」をこの年齢で体感するところからスター候補生たちの人生が始まっている。

 道徳的には間違っている。他人をののしることをスポーツで正当化してほしくはない。しかし、この険しく厳しい世界において、米国と日本では同じ世代の優秀な選手を取り巻く環境が少し違っているように思う。

 さて、ベイツ少年が大学1年生となるのは2022年。その時、どこまで彼は大きくなっているのだろう?肉体とともに、それを支える心の方にも注目したい。もし両方ともに完全な“大人”になっていれば本来、一番大きな選手が務めるセンターの標準サイズ、7フッター(2メートル13)以上の体で、一番小さな選手が集まるポイントガードを務めているかもしれない。対戦相手の少年たちがどんなにののしっても、100万人以上が見た動画にはその可能性が見え隠れしている。(専門委員)

 ◆高柳 昌弥(たかやなぎ・まさや)1958年、北九州市小倉北区出身。上智大卒。ゴルフ、プロ野球、五輪、NFL、NBAなどを担当。スーパーボウルや、マイケル・ジョーダン全盛時のNBAファイナルなどを取材。50歳以上のシニア・バスケの全国大会に6年連続で出場。

[ 2017年11月10日 10:29 ]

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