【有森裕子の目】重友 意識はできていた「ネガティブスプリット」

[ 2017年1月30日 09:30 ]

大阪国際女子マラソン ( 2017年1月29日    ヤンマースタジアム長居発着 )

<大国際女子マラソン>2時間24分22秒で優勝しポーズをとる重友
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 前半にトップ集団から遅れ、後半に追い上げて勝った重友の走りについてはいろいろな意見があると思います。これが計算通りの走りなら素晴らしいのですが、実際には練習不足で前半からペースを上げられず、やむなく自分のペースを守って走っていたら前が落ちてきたという感じでしょう。本人もそのことはよく分かっているはずです。

 それでも私は今回の走りをポジティブに評価したい。今までと違って重友の頭の中には今回から初めて導入された「ネガティブスプリット」という新しい概念がしっかりとインプットされていたからです。世界と戦うために陸連が提案した「後半にペースアップ」という新方針は、他の指導者や選手たちにも間違いなく意識付けされていました。きちんとした指針を示せばこれだけ全員が一丸となって取り組むことができるということが分かっただけでも、今回のレースは大きな意味がありました。

 重友はもちろん、他の選手も自分の走りを細かく分析し、ぜひ次に生かしてほしいと思います。 (92年バルセロナ五輪銀、96年アトランタ五輪銅メダリスト)

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2017年1月30日のニュース