伊藤ふたば 史上最年少14歳9ケ月で初女王 東京五輪も期待

[ 2017年1月30日 05:30 ]

スポーツクライミング ボルダリング・ジャパンカップ最終日 ( 2017年1月29日    東京・代々木第2体育館 )

<ボルダリング・ジャパンカップ最終日>完登を目指し壁を登る伊藤ふたば
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 女子は岩手・松園中2年の伊藤ふたば(岩手県協会)が史上最年少となる14歳9カ月で初優勝を飾った。決勝に進出した6人中、唯一3つの課題(コース)をクリア。キュートな新女王が、追加種目となった20年東京五輪でのメダル獲得へ突き進む。男子は藤井快(こころ、24=東京都連盟)が2年連続2度目の優勝を果たした。

 史上最年少日本一の快挙に、誰よりも本人が一番、驚いていた。ジャパンカップを10度制し、W杯年間優勝4度を誇る憧れの野口啓代らを破って、伊藤が初優勝。「正直、まだ実感が湧かない。自分でもビックリしています。緊張せずに自分らしい登りができたのが良かった」。表彰台の真ん中で無数のフラッシュを浴び、あどけない笑みを浮かべた。

 父・崇文さん(42)が趣味でスポーツクライミングをしていた影響で、小学3年で競技をスタート。その年にいきなり15メートルの壁を完登し、父を驚かせた。抜群のセンスと長い手足、そして「小さなころから柔らかかった」という柔軟性。クライマーに欠かせない要素を持つ14歳は6人で争った決勝で4課題中3課題をクリア。「落ちそうになったけど、できたので良かった」。家に泊まりに行くなど公私で仲の良い野口からは「おめでとう」と称えられた。

 地元の岩手が拠点。県営運動公園のスポーツクライミング施設で汗を流す。平日は3時間、土日は5時間。「完登した時が気持ちいい」。昨年は4位だったが、この1年で「パワーが苦手だったので、パワーを使う課題を意識してきた」と進化。日本山岳協会の小日向強化委員長も「動きがしなやかでスムーズに動いていく」と絶賛だ。

 国際スポーツクライミング連盟の規定で、W杯などの国際大会には16歳になるまで出場できない。「W杯とか世界選手権とか、早く出たい」。20年東京五輪は18歳で迎える。追加種目に決まった時、「五輪の種目になるってことがどういうことなのかよく分からなかった」と言う伊藤は今、明確に3年後を思い描いている。「出るからには、メダルを獲りたい」。14歳の天才クライマーなら、どんな夢も現実に変えられる。

 ◆伊藤(いとう)ふたば 2002年(平14)4月25日生まれ、岩手県盛岡市出身の14歳。小学3年でスポーツクライミングを始める。昨年はジャパンカップで4位に入り、世界ユース選手権のボルダリングで2位。松園中2年。1メートル60、44キロ。

 ▼20年東京五輪のスポーツクライミング 登り切った課題の数を競う「ボルダリング」、制限時間内に到達した高さを競う「リード」、登る速さを競う「スピード」を一人の選手が行って総合成績で争う。出場選手は男女各20人の計40人。国・地域別の出場枠や代表選考方法はまだ決まっていない。

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