渡辺 男子200平世界新!リオ6位の悔しさバネに大きく成長

[ 2017年1月30日 05:30 ]

競泳「KOSUKE KITAJIMA CUP」東京都選手権最終日 ( 2017年1月29日    東京辰巳国際水泳場 )

<水泳東京都選手権>男子200メートル平泳ぎを世界新記録で制した渡辺一平はガッツポーズ
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 男子200メートル平泳ぎで、昨夏のリオデジャネイロ五輪6位の渡辺一平(19=早大)が2分6秒67の世界新記録で制した。山口観弘が12年9月に出した2分7秒01を0秒34更新した。リオ五輪では準決勝で2分7秒22の五輪記録を出しながら、決勝で6位に沈んだ1メートル93の大型スイマーは悔しさをバネに大きく成長。20年東京五輪の金メダル有力候補に躍り出た。

 真冬の辰巳にどよめきが起こった。テレビ解説席にいた北島康介氏も思わず立ち上がって、笑顔で拍手を送った。オフシーズンの1月に季節外れの「世界新記録達成」のアナウンスを響かせたのは19歳の渡辺一平だった。

 「昨年から世界記録を出したいと言ってきて、(鍛錬期で)タイムを出すのが難しい1月に出せてうれしい。狙ってはいなかったので、ちょっとビックリしてます」

 日本競泳陣男子最年少として臨んだリオ五輪では準決勝で2分7秒22の五輪記録を出した。だが、決勝では2分7秒87に落として6位に沈み号泣した。準決勝のタイムなら金メダルだった。「凄く悔しかった」。五輪後は逃げずに弱点と向き合った。手をつけたのは苦手のスタートとターンの改善。壁や台を蹴る力をつけるためにウエートトレーニングを始め、スクワットなどで下半身を鍛えた。

 その成果を発揮した。スタートから一緒にリオ五輪に出場した小関也朱篤(ミキハウス)らを抑えて先行した。ターンでは力強く壁を蹴って加速した。前半100メートルはリオ五輪準決勝より0秒50速い。元々スタミナには定評があり、後半も落ちなかった。指導する早大の奥野コーチは「最初の15メートルは4月より0・5秒速くなっている。脚筋力がついて、出力が上がった」と進化の要因を語った。

 男子200メートル平泳ぎは日本のお家芸。高1だった12年9月の岐阜国体で観客席から2学年上の山口観弘の世界記録を間近で見て「僕もそんな選手になりたい」と憧れた。もちろん3度世界記録を出した北島はイニシャルをメールアドレスの一部に入れるほど尊敬する存在だ。その北島から今大会最優秀選手賞の「北島康介杯」ももらい「五輪でメダルを途切れさせて申し訳なかったけれど、日本の平泳ぎが最強だと証明できてうれしい」と胸を張った。

 今後は「世界の大きな舞台で自己ベストを出せる選手になりたい。世界選手権(7月・ブダペスト)では絶対に優勝したい」と言った。1メートル93、78キロと細身の大型スイマーは伸びしろ無限大だ。

 ▼山口観弘(前世界記録保持者) 本当におめでとう。世界記録を出すのは(渡辺)一平だと思っていました。自分の記録を破られて悔しいというより、やっと切られたんだという気持ちです。

 ◆渡辺 一平(わたなべ・いっぺい)

 ☆生年月日、出身 1997年(平9)3月18日、大分県津久見市生まれの19歳

 ☆サイズ 4160グラムで出生。中学で身長が30センチ伸びて1メートル86、現在は1メートル93、78キロ。足は30センチ

 ☆実績 14年南京ユース五輪200メートル平泳ぎ優勝。16年リオデジャネイロ五輪同種目6位

 ☆あだ名 長身細身で赤キャップをかぶっていた高校まで「マッチ棒」。大学では「一平」

 ☆大食漢 小学生のときには給食の200ミリリットル牛乳パックを22本がぶ飲み。回転寿司は最高48皿。夕飯は炊飯器のまま米3合が普通

 ☆家族 両親と姉3人。父・謙司さんは1メートル70、母・成子さんは1メートル56

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