錦織 元王者とフルセット死闘も8強ならず「もったいない」

[ 2017年1月23日 05:30 ]

全豪オープン第7日 ( 2017年1月22日    メルボルン )

フェデラー(手前)に敗れ、引き揚げる錦織
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 男子シングルス4回戦で、世界ランキング5位の錦織圭(27=日清食品)は、同17位のロジャー・フェデラー(35=スイス)に7―6、4―6、1―6、6―4、3―6で敗れた。すでに世界2位のノバク・ジョコビッチ(29=セルビア)が姿を消し、この日は世界1位のアンディ・マリー(29=英国)も敗退。初優勝のチャンスが広がったかに思えたが、4大大会最多優勝回数を誇る歴戦のフェデラーに24本のサービスエースを浴び、3年連続の8強入りはならなかった。

 逃したものはこの日の1勝だけではなかった。敗戦後の会見、思い残したものが錦織の口から漏れた。「もったいないとしか言いようがない。A・マリーも負けてチャンスもあったので」

 準々決勝での対戦が予想されていたA・マリーが直前の試合で敗れた。世界1位が消え、広がったはずの4大大会初制覇の希望は、復活を期す元王者によって断たれた。

 スタートダッシュは抜群だった。開始直後からフェデラーのサーブを攻めて4―0とリード。ところが5―2で迎えたサービスゲームで墓穴を掘った。強引なサーブ&ボレー2本のミスもあってブレークを許し、そこから4ゲームを連取された。タイブレークで競り勝ったものの「しっかり取っていれば第2セットの入り方も変わった」と言うように、完全に寝た子を起こしてしまった。

 今大会の高速コートでフェデラーのサーブが決まり始めると、第2セットの錦織のリターン成功率は44%まで低下した。3回戦までは70%台だったのが、24本のサービスエースを浴びたこの日は59%止まりだった。「他の選手より展開が速いし、甘いボールを一球も打てない」とストロークでも相手の素早い仕掛けを防げず、0〜4本のラリーが全体の8割近くを占めた。「先に振り回される展開になった」とラリー戦でも主導権は握れなかった。

 必死のサービスキープを繰り返し、第4セットこそ奪い返したものの、肉体的にも精神的にも限界が近づいていた。最終セットは第2ゲームで先にブレークを許し、メディカルタイムアウトを取って腰の治療を受けた。「最終セットも集中力が欠けた1ゲームでこうして差が出てしまう。そこが一番もったいない」。錦織は悔しそうに「まあ、ちょっとの差ですけど」と付け加えたが、合計ポイント数は170対142の大差。4大大会男子最多優勝を誇る王者との差、それはスコアで見るほどには小さくなかった。

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