31歳新星北島 日本人最高2位でリオに名乗り「選んで」

[ 2016年3月7日 05:30 ]

日本人1位となる全体2位でゴールした北島は満面の笑みでガッツポーズ

スポニチ後援びわ湖毎日マラソン

(3月6日 皇子山陸上競技場発着)
 リオデジャネイロ五輪の代表選考会を兼ねて行われ、北島寿典(31=安川電機)が、自己ベストの2時間9分16秒で日本人トップの2位に入った。チームメートから離れ、マラソン練習を単独で行う孤高の実業団ランナーが、17日の日本陸連理事会で決まるリオ代表入りを有力に。4位の石川末広(36=ホンダ)も2時間9分25秒で代表に名乗りを上げた。ルーカス・ロティチ(25=ケニア)が2時間9分11秒で優勝した。

 2月1日にパパになったばかりの31歳は終盤、呪文のように心の中で唱えていた。「子供のために、頑張ってくれたママのために」――。レース前、美奈夫人、長女・暖乃(はるの)ちゃんに誓った言葉を原動力に、自己ベストを3分12秒も更新。小学校入学までを過ごした滋賀で激走し、夢切符を手繰り寄せた北島は、「リオに行きたい。選んでほしい」と殊勲の汗を拭った。

 スタート時の気温は19・8度。リオの8月の平均気温は22度で福岡国際(12・9度)、東京(13・3度)よりも本番に近い環境で結果を出した。「寒いより暑い方が好き。五輪を意識して、こういう発言をさせてもらいます!」。30キロすぎに丸山、39キロすぎには石川が日本人トップに立つ展開も、冷静に対応。右脇腹の痛みに苦悶(くもん)の表情を浮かべながら、41キロ付近で石川をかわし、両手を突き上げてゴールに飛び込んだ。

 東京で19歳・下田が日本人2位に入るなど、マラソンでも活躍した青学大は、複数の選手が同じメニューをこなし支え合った。対照的に北島のマラソン練習は常に1人。定番の40キロ走とは無縁で、調整前半の1カ月半は週に5回、約2時間の距離走で土台をつくり、次の1カ月半は試合ペースで15キロ走などを行う。「マラソンを2つに分解して考えている。土台のあとに技術」。東洋大工学部卒業の31歳は、独特のアプローチで42・195キロを駆ける解を導いた。

 30歳で臨んだ15年2月の延岡西日本、9月のシドニーとマラソンで過去2戦2勝。「勝率10割を維持できなかったけど、日本人1位で優勝みたいなもの」。シドニーは新婚旅行を兼ねるはずだったが、美奈夫人が妊娠していたため断念。最高峰の舞台が、ハネムーン代わりになる。「遅咲きって言われてきたけど、一気にここまで来た。この勢いでメダルを目指して勝負したい」。リオで咲く大輪の色は、誰にも予想できない。

 ◆北島 寿典(きたじま・ひさのり)1984年(昭59)10月16日、滋賀県生まれの31歳。小学校入学前に群馬に移り、中央高で陸上を始める。東洋大4年時に箱根駅伝8区区間賞。初マラソンだった昨年2月の延岡西日本を2時間12分28秒で制し、9月のシドニーも2時間12分44秒で優勝。1メートル70、55キロ。

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