横綱・白鵬 記録にこだわる理由「2番目の山は知らないでしょ?」

[ 2016年3月7日 09:35 ]

横綱・白鵬

 大相撲の春場所は13日にエディオンアリーナ大阪で初日を迎える。最大の注目は初めての綱獲りに挑む大関・琴奨菊。1月の初場所、日本出身力士として10年ぶりに賜杯を抱き、今場所でも優勝もしくはそれに準ずる成績を挙げれば横綱昇進の可能性が出てくる。

 だが、個人的な見解としては春場所の優勝候補筆頭は36度目Vを狙う横綱・白鵬だと考える。昨年7月の名古屋場所以来、賜杯から遠ざかっているものの調整は順調そのもの。横綱昇進後4場所も優勝から遠ざかっていることはなく、大阪入り後の稽古を取材していても今場所に懸ける思いは誰よりも強いと感じた。

 史上最多の優勝回数を超えた今、白鵬がもっともこだわっているのは通算勝利記録だ。現時点で958勝で歴代3位の大潮の964勝まで残り6勝と迫っており、それが1つのモチベーションとなっている。その上は1045勝の千代の富士、1047勝の魁皇だけで、白鵬は「近づきたい」と意欲を示している。順調にいけば来年中には達成できるだろう。

 そのほかにも幕内勝利記録では、残り15勝で魁皇の持つ史上最多の879勝に届く。今場所で全勝すれば達成することになるが、それを記者から問われると「またいいこと聞いたね」とニヤリ。何事に対しても貪欲に“1位”を目指す理由については「日本で1番高い山は富士山。でも2番目に高い山は知らないでしょ?そういうことなんだよ」と説明した。続けて「これは冗談として聞いてほしいのだけど、野球の背番号と言うと1番は王さんだよね。でも2番と言っても誰も想像できない。3番だと長嶋さんって分かるけどね」と言った。白鵬が言いたいのは要するに何事に対しても「2番ではダメ」ということ。“長嶋さん級”の個性を放っていない限り、1番でいなければ人々の記憶に埋もれてしまうということだ。

 30歳を超えてもなお、高いモチベーションで相撲に取り組めているのはそうした記録への強いこだわりがあるからだ。米大リーグ・マーリンズのイチローもメジャー通算3000安打まで残り65安打と迫っており、それを1つのモチベーションとしているとされる。白鵬は勝ち星記録に加え、4年後の20年東京五輪まで現役を続けることを目標にしている。数々の金字塔を打ち立てる横綱が強い理由。それは「目標を立て、それに向かって努力する能力」がほかの力士よりも優れているからだと思う。 (鈴木 悟)

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