板橋 離れ業V 五輪金も夢じゃない国内女子初合計400点台

[ 2015年6月7日 05:30 ]

女子高飛び込みで前宙返り4回転半抱え型を決め優勝した板橋

 飛び込みの日本室内選手権が6日、都内で行われ、女子高飛び込みは甲子園学院高1年の板橋美波(15=JSS宝塚)が女子では世界で1人しかできない前宙返り4回転半抱え型を決め96・20をマーク、1本目にミスがありながら計404・20で圧勝した。板橋は3メートル板飛び込みとの2冠。日本水泳連盟によると、400点台は国内女子初で、12年ロンドン五輪は銀、13年世界選手権では金メダルに相当。今夏の世界選手権(ロシア・カザニ)に弾みをつけた。男子3メートル板飛び込みは34歳の寺内健(ミキハウス)が477・00点で優勝した。

 超大技で板橋が世界の仲間入りを果たした。3回目までまずまずの演技でまとめ迎えた4本目。唯一無二の前宙返り4回転半抱え型を繰り出し、水面を切るように入水。どよめく場内の電光掲示板に96・20が表示されると、天才少女は「90点を超えることが目標だったので泣きそうになりました」と目尻を下げた。

 最終5本目も成功させ、演技の合計は国内女子初の400点台。同じ所属で男子の第一人者、寺内健は「1本目が決まっていれば420点いけた。それができれば間違いなく(五輪)金メダル」と太鼓判を押した。元柔道家の両親のDNAを受け継ぐ愛弟子について馬淵コーチは「放っておいても筋肉がついた」という。板橋も「(ズボンのサイズを)ウエストに合わせたら太腿が入らない」と悩むほど筋肉は発達しており、それが「空中でどんどん加速していく」(同コーチ)離れ業の原動力となっている。

 優勝した昨年8月のジュニア・オリンピック以来、約1年ぶりに決めた得意技。前回99・90をマークすると、周囲から「99点出したんでしょ?」と騒がれ、期待は重圧に変わった。「決めないと決めないと」。考え過ぎで精神が安定しなかったが、2月の世界選手権代表選考前にフィギュアスケートの織田信成と対談。「失敗しても次が最初と思えばいい」と助言され、気持ちを切り替えられるようになった。

 ロンドン五輪覇者は422・30点、2年前の世界選手権優勝者は392・15点。国際大会より採点が甘いとはいえ、今夏の世界選手権でメダルを狙える存在だ。12位以内でリオデジャネイロ五輪が内定も、「(リオ五輪では)決勝に残って入賞できればいいかな」と控えめ。本人は5年後の20年東京五輪で「金メダルを獲りたい」と宣言するが、大技とともにリオへの期待も高まった。

 ◆板橋 美波(いたはし・みなみ)2000年(平12)1月28日、兵庫・宝塚生まれの15歳。宝塚小1年の時にJSS宝塚で競泳を始め、3年で飛び込みに転向。御殿山中2年の日本選手権高飛び込みで3位。昨年9月の同大会では3メートル板飛び込みで勝ち、年少優勝記録を更新した。家族は元柔道家の父・秀彦さん、母美智子さんと兄。1メートル51、45キロ。

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2015年6月7日のニュース