松岡修造氏、錦織躍進を分析 強靭な精神力は「圭・チャン」

[ 2014年9月5日 05:30 ]

全米オープン男子シングルスで錦織圭選手が4強入りを果たし、観客席で大喜びする母恵理さん(2列目右端)ら。左下はマイケル・チャン・コーチ

テニス全米オープン第10日 男子シングルス準々決勝

(9月3日 ニューヨーク ビリー・ジーン・キング・ナショナル・テニスセンター)
 圭の凄さが存分に出た試合だった。ワウリンカは全豪オープンを優勝して今季はツアー3勝を挙げている強豪。ビッグサーバーだった4回戦のラオニッチと違ってストロークが強い。

 その選手に対して、この日の圭はファーストサーブの確率が59%と良くなかった。その分はストロークで補ってポイントを取るしかない。普通はストローク戦でワウリンカが負けるはずはないのだが、圭はファイナルセットまで戦った上で押し切ってしまった。

 圭のストロークの何が一番厄介なのか。それはスピードだ。伊達さんのようにライジング(バウンドが頂点に達する前に打つショット)にどんどん近づいていてタイミングが速い。しかも物凄く体の遠心力を使っているので球にパワーがある。何度も今大会のビデオを見返したが、相手が普通のショットでも返すのに凄く苦労していた。

 コーチのマイケル・チャンからは「もっとスタンスを広く、低い体勢で打て」と何度も反復練習をやらされてきたそうだ。圭は基本練習の繰り返しは嫌いなタイプだが、何度もやることで相手からエースが取れるようになったと言っていた。

 精神的な強さもマイケルをほうふつさせた。本来は第4セットで終わるべき試合だっただけに、最終セットは心も体も全て出し切って疲労困ぱいだっただろう。そこで踏ん張って勝てた。「圭・チャン」と言いたくなるような素晴らしい精神力。そのことをマイケルは一番喜んでいるのではないだろうか。

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