リオへ第一歩!浅見が復活の連覇 五輪落選が糧に

[ 2012年12月1日 06:00 ]

決勝でキューバのメストレを攻める浅見

柔道グランドスラム東京大会第1日

(11月30日 国立代々木競技場)
 女子48キロ級決勝で浅見八瑠奈(24=コマツ)がメストレ(キューバ)に一本勝ちし、連覇を達成した。ロンドン五輪代表の大本命と目されながら、落選。1月のマスターズ以来となる国際大会で復活Vを果たし、16年リオデジャネイロ(ブラジル)五輪に向けた一歩を踏み出した。同57キロ級は山本杏(18=桐蔭学園高3年)が初優勝。男子66キロ級では10年世界選手権覇者の森下純平(22=筑波大4年)が優勝するなど、初日の5階級はすべて日本勢が制した。

 抑え込み25秒で勝利を告げるブザーを、安どの表情で聞いた。それから約1時間。うっすらと浮かんだ笑みが、浅見の気持ちを雄弁に物語っていた。「ホッとしたというのが本当のところ」と振り返ると「まだ4年後は見えないけど、自分と向き合いながら目の前の試合に集中していけば」と続け、約10カ月ぶりとなる国際大会をVで締めた安ど感を漂わせた。

 昨年まで世界選手権を連覇し、五輪代表の大本命として迎えた5月の最終選考会。まさかの初戦敗退で、描いていた青写真は崩れた。「周囲の期待に応えられなかった」と自分を責めた。そのロンドンでは、しのぎを削った福見友子(了徳寺学園職)がメダルを逃し、努力が報われない現実も突きつけられた。「自分も柔道をしたくない」とまで思ったという。

 だが、それを覆したのも「周囲」だった。全日本でも担当コーチを務めるコマツの徳野和彦コーチは「五輪に行かせられなくてすまん」と頭を下げた。自分は責められず、支えられている。「人ってこんなに温かいんだと思った」。8月末の実業団個人戦で復帰する道を選んだのは「心配してくれた人に、早く元気な姿を見せたかった」からだった。

 「あの負けをムダにしたくなかった」。時間を活用し、一本背負いや寝技を積極的に習得。初戦こそ指導2と技のポイントでは決着できなかったが、準決勝は抑え込みで一本勝ち。決勝では昨年の世界選手権で接戦を演じた相手を、寝技で仕留めた。技術的な成長に加え「相手を見る余裕を持って試合ができていた」と全日本女子の園田隆二監督は評価する。スケールアップして帰ってきた24歳は「まずは来年の世界選手権(8月27日開幕、リオデジャネイロ)で3連覇を目指したい」と目標を口にする。その時、表彰台の中央で見えるのは、16年と同じ景色かもしれない。

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2012年12月1日のニュース