遼 2位キープ 2年ぶりVで大会存続アピールだ

[ 2012年11月10日 06:00 ]

17番、ティーショットを放つ石川遼

男子ゴルフツアースポニチ後援三井住友VISA太平洋マスターズ第2日

(11月9日 静岡県御殿場市 太平洋クラブ御殿場コース=7246ヤード、パー72)
 石川遼(21=パナソニック)は4バーディー、1ボギーの69で回って通算8アンダー。初日と同じ2打差の2位をキープし、今季自己最高位で決勝ラウンドに進出した。コースを所有する太平洋クラブは会社更生手続きの真っ最中で、来年の大会開催も見通しは立っていない状況。石川は「凄く好き」と公言するコースで、大会存続への願いを胸に2年ぶりの優勝を目指していく。2戦連続優勝の懸かるハン・リー(35=米国)が65をマークし、通算10アンダーで首位に立った。
【第2R成績】

 このコースを回っていて楽しいのは、こんな感覚があるからだ。「難しい一打を求められる。メジャーで戦っているのと同じ瞬間を味わえる」。コースが選手を成長させてくれるとするなら、ここ最近で石川ほど御殿場コースに育てられた選手はいない。

 この日も18番パー5でそんな瞬間が待っていた。2打目をグリーン奥に外して下り傾斜、ピンまで15ヤードの難しいアプローチ。ふわりと浮かせたボールは、ピンをオーバーして2段グリーンの下の段まで転がるミスとなった。最後のチャンスホールは10メートルから2パットのパーに終わったものの、そんな困難な一打があるから、挑戦意欲がかき立てられる。「日本によくある林間コースに比べて、ここでは求められるショットの種類が多い」と振り返った。

 持ち味の弾道の高さは砲台グリーンをピンポイントで攻めやすく、高速グリーンも元来得意にしている。2打で届くパー5は、積極的な石川のゴルフともよくかみ合ってきた。この大会は過去5回出場しているが、アマ時代の07年以外は優勝1回(10年)を含め全てトップ10入りという実績が、何よりも抜群の相性の良さを示している。

 しかし、40回の節目を迎えた伝統の大会が今、危機に瀕(ひん)している。コースを所有する太平洋クラブが1月に民事再生法の適用を申請。これに伴う民事再生計画案が否決され、現在は会社更生手続きに移っている。パチンコホール運営最大手の「マルハン」が会社更生のスポンサー候補に名乗りを上げ再建を支援する話も出ているが、先行きは依然として不透明。もちろん来年、このコースで大会が開催される保証もない。

 「一番なくなっちゃいけない大会(コース)。海外から招待選手をたくさん呼んできた歴史もあるし、開催時期もいいんだから」と石川は訴える。77年の第6回大会から会場がこのコースに替わり、セベ・バレステロスら華々しい海外のビッグネームが歴史を彩ってきた。石川にとって今できることは、少しでも自身の活躍で注目を集めて大会を盛り上げることだけ。そうすれば御殿場で大会を存続させる機運が高まるかもしれない。

 「あしたも4つ、5つ伸ばせれば、いい流れで最終日にいけるかな」。2年前のこの大会を最後に優勝から遠ざかっているが、多くを学ばせてくれた最愛のコースのためにも、全力でトップを狙う。

 ▽三井住友VISA太平洋マスターズ 太平洋クラブマスターズとして72年に誕生。賞金総額はドル表記で30万ドル。当時のレートで約9000万円と米ツアーを上回る規模で海外選手が大挙参加。88年のS・バレステロス、最終ホールの劇的イーグルで逆転した93年のG・ノーマンら世界の強豪が歴代覇者に名を連ねる。06年には中嶋常幸がツアー歴代3位となる年長優勝を飾った。

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