渡部暁、W杯初優勝!飛躍で首位→距離で逃げ切った

[ 2012年2月6日 06:00 ]

W杯複合で初優勝を飾り、両手を突き上げてゴールする渡部暁

ノルディックスキーW杯複合個人第14戦

(2月5日 イタリア・バルディフィエメ)
 W杯総合ランク3位の渡部暁斗(23=北野建設)が初優勝した。前半飛躍(HS134メートル、K点120メートル)で最長不倒の133・5メートルを飛び、138・2点で首位に立った。後半距離(10キロ)は2位に20秒差をつけてスタートして逃げ切った。W杯複合個人の日本勢としては8季ぶりの優勝。過去に荻原健司が19度、高橋大斗(土屋ホーム)が2度、河野孝典が1度優勝している。

 ゴール前の丘を下り、最後の直線で後ろを振り返ると、視界には誰もいなかった。「バテバテだったから、ほっとした」。渡部暁はペースを落とし、両手を突き上げて初めて1番にゴールラインを滑り抜けた。一歩ずつ確実に成長してきた日本のエースが歓喜の雄叫びを上げた。

 前半飛躍は緩い追い風の中で飛距離を伸ばし、一人だけ130メートルを超えた。W杯55戦目で後半距離をトップで迎えるのは「初めて」。しかも距離が強いコクスリェンには1分15秒の差をつけた。

 後半は「緊張でハイペースになってしまった」という。だが単独走で走力のある後方の大集団に差を詰めさせない。「必死に逃げた」と最後はスタミナ切れ寸前になりながらも、貯金を守った。

 日本で唯一、複合の五輪個人でメダルを獲得している河野ヘッドコーチは「着実に積み上げていくタイプ」と評価する。長野・白馬高2年で06年トリノ五輪に出場したときは「飛ぶだけの選手だった」と自己分析し、早大3年で迎えた10年バンクーバー五輪は「飛べて走れる複合の選手」に変身した。

 そして社会人1年目の今季は飛躍力も走力も一回り上乗せして追い求めてきた「ジャンプも走りもトップクラス」に近づいた。W杯初戦から優勝争いして2位になり、W杯総合ランクは3位。フロックではなく実力で日本選手で8季ぶりの優勝をつかんだ。

 ◆渡部 暁斗(わたべ・あきと)1988年(昭63)5月26日、長野県生まれの23歳。長野・白馬高―早大―北野建設。高校生だった06年にトリノ五輪出場。10年バンクーバー五輪では個人ラージヒル9位。世界選手権は09年に団体優勝、11年に個人ノーマルヒルで5位入賞。W杯は今季開幕戦で自己最高の2位に入っていた。1メートル73、61キロ。

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2012年2月6日のニュース