あれっ魁皇、あっさり後ろ向き…1045勝は持ち越し

[ 2011年7月11日 06:00 ]

嘉風(左)に送り出しで敗れた魁皇

大相撲名古屋場所初日

(7月10日 愛知県体育館)
 八百長問題で開催が見送られてきた本場所が1月の初場所以来、半年ぶりに開幕した。千代の富士と並ぶ史上1位の通算1045勝に“あと1勝”としていた大関・魁皇(38=友綱)は、平幕の嘉風(29=尾車)に送り出され、快挙達成は持ち越された。横綱・白鵬(26=宮城野)は小結・栃ノ心(23=春日野)を一気に寄り切り、前人未到の8連覇へ好スタート。大関獲りの関脇・琴奨菊(27=佐渡ケ嶽)は豊ノ島(28=時津風)に完敗した。
【取組結果】

 館内で起きた手拍子と“魁皇コール”が、取組後には「あ~」というため息へと変わった。千代の富士に並ぶ1045勝が懸かった一番で嘉風に対し、力強い立ち合いができず防戦一方。何とか体勢を整えようとしたが、左でいなされると後ろ向きとなり、土俵下へ送り出されてしまった。

 「反応が鈍かった。やることは半端だったし、腰が高い。記録の意識?そういうのはなかった」

 土俵下に落ちた際には両膝に負担がかかったのか、顔をしかめたが「あちこち痛いからちょっと相撲を取ると痛みが出る」と“特別なケガ”でないことを強調した。

 6月上旬に協会が実施した被災地巡回慰問では5日間、毎日7時間のバス移動を強いられたが、被災者の前では笑顔を絶やさず、今場所で記録を達成することを約束。「正直歩けないぐらいの状態だった。でも被災者の顔を見ると、そんなことはどうでもよかった」。巡回慰問が終わると奈良の行きつけの治療院に出向いて体のケアに専念。この日の朝稽古では部屋の三段目力士と10番以上の申し合いができるまでになっていたが「稽古が足りなかった」とやはり調整不足を感じていた。

 故郷・福岡県直方市でのパブリックビューイングには母・栄子さん(66)を含む約300人が集まった。勝てば1本、勝ち越せば5本、優勝すれば10本を上げてきた打ち上げ花火も、今場所に限ってタイ記録で5本、新記録で10本と決めているが、それも持ち越し。名古屋場所担当部長でもある師匠の友綱親方(元関脇・魁輝)は場所の盛り上がりを考えて「複雑だな」と苦笑いするしかなかった。ただ、快挙達成が延びるほど、体が悲鳴を上げるだけに焦りが出るのも事実。1044勝を積み重ねてきたベテランが、“あと1勝”の重みを痛感させられた。

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2011年7月11日のニュース